テニスの王子様
□無防備なきみに恋をする5題
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5.狼まであと何秒？(鳳宍)
ザー…
俺は今、シャワーを浴びている。
場所は、氷帝テニス部の部室備え付けシャワールームだ。
練習をして、シャワーを浴びて、たまに寄り道をしながら家に帰る。
いつもの放課後の流れ。
別に、これだけならいい。
ただ、問題は、今隣に誰がいるか、だ。
「わりぃ、長太郎。ボディソープ貸してくんね？切れちまった」
「あ、はい、どうぞ！」
そう。宍戸さんだ。
あの宍戸さんが、俺の隣でシャワーを浴びている。
勿論、シャワーを浴びているのだから、格好は…
いやいやいや！
同性でお風呂一緒に入るとか、普通だから。
温泉とか、一緒に入るじゃん。
うんうん。
…とはいえ、大好きな宍戸さんが隣に…
裸で…な、なんて無防備な…！
しかも、俺と宍戸さんは居残り練習をした後なわけで。
シャワールームはおろか、部室にすら、他の人は誰もいない。
据え膳食わぬはなんとやら…
いやでも、宍戸さん練習後で疲れてるだろうし…
いやいや、その気がなければ宍戸さんだって、俺の隣でシャワーなんて…！
「長太郎ー、俺先上がるぜー」
「えぇ？！」
「お前も早く上がれよー」
なんて、もやもやうだうだしている間に、宍戸さんは俺を置いて上がってしまった。
「はぁ…」
狼になるまで、数秒前。
結局今日も、なりきれずに終わってしまった。
→あとがき。