テニスの王子様

□今すぐに
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「…はぁ…やっちまった…」



部屋に小さく響いた言葉。



この言葉を発した少年は、
氷帝学園3年テニス部
宍戸亮である。



今は平日の午前7時。
普段なら朝練に行っている時間。
しかし、彼は自室のベッドの中にいる。



何故なら…



「くっそ…親は旅行、
 兄貴は泊まり込みって時に
 38度越えの熱出すとは…
 激ダサだぜ…」

そう、熱を出していたのだ。
滅多に風邪などひかない宍戸。
その為、引く時はがっつり引く。
大好きなテニスどころか、
まともに立ち歩きも
出来ない状態だ。



「…景吾に連絡…朝練出れないって…」



正レギュラーが朝練に出ないなど、
氷帝テニス部では許されない。
必ず部長である跡部に
連絡しなくてはならない。



宍戸はベッド脇に置いてある
携帯に手を伸ばし、画面を見ずに
指だけで操作し、発信ボタンを押す。



宍戸が見ていない画面には
「跡部景吾」の文字。
履歴から発信しているので、
画面を見なくても
簡単にかけられたのだ。



枕に顔を埋め、瞼を閉じた宍戸は
黙って携帯を耳元に持っていく。



宍戸の耳に呼び出し音が数度なり、
その規則的な音は途中で
ブツリッと切れた。



そして、入れ代わりに
聞こえてきたのは…



『朝練も来ないでどうした?宍戸』



跡部の声だった。
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