テニスの王子様

□長髪
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「おい、折角レギュラー復帰出来たくせに、何暗い顔してやがる」



ベンチに腰掛けている宍戸に向かって、跡部は部誌を書きながら呟いた。



そう、宍戸は今日滝との試合と監督への意志表明をもって
晴れてレギュラー復帰を果たしたのだ。
ところが、宍戸はソファで1人浮かない顔をしていた。
勿論、そのことに気付かない跡部ではない。



「いや、まぁ…嬉しいのは嬉しいんだけどよ…」
「ハッキリしねぇな。なんなんだよ」



いつもの宍戸らしい真っ直ぐな答えが返ってこなく、
跡部は部誌を書く手を止めて宍戸の横に座った。
そして、その時に宍戸の切ったばかりでボサボサの髪が目に入る。



「もしかしてお前、髪切ったことに対して落ち込んでんじゃねぇだろうな」



跡部の言葉に、宍戸はだんまりになる。
それは、宍戸が都合の悪いことを肯定する時の癖だ。
【髪を切ったことに落ち込んでいる】というのを肯定することが
自分勝手な考えであると、宍戸も頭では分かっているのだ。



「ったく…昔から伸ばしているのは知っているが、
 折角再復帰出来たんだ。髪くらいまた伸ばせばいいじゃねぇか」
「そりゃあそうだけどよ…お前はそれでいいのかよ」
「俺か?なんだ、俺の為に伸ばしてたのか?」



そんなことは初めて聞いたぞ。と、跡部は少し目を見開いて驚く。
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