テニスの王子様

□ほんと、妬けちゃうよね。
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「跡部くんのプライドを捨てた執念、正直凄かったよ」



タオルを持ってきてくれた修さんの横を歩きながら、ポツリと呟いた。
頭の中には、ついさっきまで試合をしていた跡部くんの姿が浮かぶ。
追い込めば追い込む程進化していく彼。
手塚くんとの約束を守ろうとがむしゃらにボールを追っていた彼。
どんな彼も、ボクの眼には輝いて見えた。



あぁ、若いってほんと良いよね。
ボクみたいに演技して相手を騙してっていうせこいテニスじゃなくて、
ほんとに真っ直ぐなテニスをするんだから。ほんと純粋っていうの?
あ、別に演技テニスは気に入ってるから、そこは否定してないよ。



「【あなたの良き理解者】とはよく言ったもんやなぁ」
「まぁね。あれだけの執念があるなら、彼はまだまだ伸びるよ。
 ほんと、大和くんが手塚くんを開放したからこっちも開放されちゃった」



片方が強くなれば、もう片方も強くなれる。
お互いが強くて認め合えているからこそ、共に戦える。
絶対などないこの世の中で、固い約束が交わせる。



「ほんと、妬けちゃうよね」



さっきの試合で、跡部くんがどれだけ手塚くんを想っているか、
こっちには嫌でも丸見えだったよ。それこそ、スケスケにね。





End.





→あとがき。
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