テニスの王子様

□間に入る隙間なんて無かったんだ。
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「だからこそ、手塚くんにはボクみたいになって欲しく無いんですよ」
「自分の為だけに戦ってほしい」



彼が本当はドイツに行きたいと思っていることは、見ていて分かりました。
ドイツで自分を鍛え、プロになりたいと…そう感じ取れました。
まぁ、勿論彼の口からそのような言葉なんて聞けませんが。



ボクとしては、自分を抑え込んでいる彼を開放させるのが役目だと感じました。
どんなに大きくなっても、どんなに強くなっても、彼は私の大事な後輩です。
後輩の道案内は先輩がするものなのです。



「おい」
「おや、君は…氷帝の跡部くんですね」



声を掛けられたので、声のする方へ振り向けば、そこには氷帝の跡部くんが。
…手塚くんの大事な人ですね。
彼という存在のおかげで手塚くんは強くいられたのでしょう。



「もう帰るのか?」
「はい。もうここに用はないので」



先程の試合は、ボクにとっての最後の試合でした。
もうJr.選抜のコートにいる必要はないのです。
大事な忘れ物も無事に渡せましたしね。



「1つ言っておく」
「なんでしょう?」
「手塚をドイツへ導いてくれたこと、感謝するぜ。だがな…」



「手塚は俺様の男だ。誰にも渡しやしねぇ」



跡部くんは、ボクの目を真っ直ぐみつめながらハッキリと言いました。
あぁ…やっぱり…ボクが彼らの間に入る隙間なんて無かったんですね。



…分かっていたからこそ、最後くらいは手塚くんを
独占したかったんですよ、跡部くん。





End.





→あとがき。
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