ジャンル混合

□花言葉50のお題企画(前半戦)
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24.クリスマスローズ(跡日)





全国大会も終わり、どこの部活も
世代交代の時期となった。
氷帝男子テニス部も3年生中心から
2年生中心へと移行していた。
部長は跡部から日吉に引き継がれ、
すでに活動の指揮は日吉が行っている。
鳳が副部長になるという話もあったが、
跡部の【氷帝のTOPは1人でいい】
という言葉もあり、【副部長】という
役職は今後も作らないということで
レギュラーの間で落ち着いた。



跡部含む3年生レギュラーは
たまに指導に来ることはあるものの、
頻繁に顔を出すことはない。
それは誰が指示をしているとかではない。
【あまり頻繁に顔を出すのはやめておこう】
という暗黙の了解のようなものが
本人たちの中で自然と出来あがっているのだ。



「よぉ、調子はどうだ?
 上手くやってんのか、あーん?」
「跡部さん…!」



そして、久しぶりに顔を出せば、
当然後輩達が寄ってくる。
レギュラーメンバーは200人以上いる
部員達の中から勝ち上がってきた猛者だ。
人気がないハズがない。



しかし、跡部の人気はそれとは別格である。
跡部がコートに姿を現わせば、
男女両方から黄色い歓声が鳴り響く。



…とある1名を除いて。



「どうした日吉。しけたツラしやがって」



そう。新部長となった日吉だけは
跡部が来てもあまり喜ばないのだ。
寧ろ嫌な者でも見たかのような
渋い、苦い表情を浮かべている。



「あなたを目の前で見る度、
 俺はとても不安になります…
 あなたは輝き過ぎていました。
 俺はあなたの輝きには
 とてもじゃないが追いつけない…」



まるで捨てられた子猫のような
表情で、日吉は跡部に縋り付いた。
そんな日吉を、跡部は無言で受け止めた。





(不安を取り除いてください)





→25.マンドラゴラ(再不白)
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