二次小説短編集(3)
□すれ違う甘さ(3*弁ヒ)
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「かすてら…?」
「えぇ、望美さん達の世界で食べられている菓子のようです。」
「へぇ…」
自分に差し出された黄金色の物体をヒノエがしげしげと見つめる。
そういえば貿易品の中にこんなのがあったような気がしないでもない。
「君に食べてもらおうと思って作ってみたんですよ」
「アンタが…俺に…?」
弁慶の台詞にヒノエが眉を顰めると、弁慶は“えぇ…”と頷いてもう一度カステラをヒノエへと差し出した。
嬉しくないかといわれれば、そんなことは決してなく
当然嬉しいのだが、果たして彼が作ったものを易々と口にして大丈夫だろうか…?
真剣にカステラと睨めっこしているヒノエに弁慶はわざとらしく深い深い溜め息をつく。
「喜んでくれると思って譲君と一緒に作ったのですが…」
「?!…譲と…?ふ〜ん…」
しかし弁慶の言葉を聞いた途端にヒノエの纏う空気が変わった。
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