青春トラジコメディ

□日常・春
2ページ/3ページ



 
始業式前にあった出来事から交流を始めた乙羽と静雄は、最近は何をするにも一緒にいる事が多い。
 
新羅曰く「小学校時代も一匹狼だった」静雄は「昔から友達が少ない」らしく、乙羽や新羅以外の生徒と
話している姿は滅多に見られない。あったとしても、同じく学園の問題児にカウントされている門田京平くらいである。
 
また乙羽も、転校してきたばかりで友人が少なかった事もあり、静雄とも門田ともすぐに打ち解けられた。
 
門田と知り合い、静雄経由で新羅と仲良くなり、近頃はこの4人でまとまって行動する事が多い。
 
……まぁ時折、どっかからか臨也が湧いてきて勝手についてくるが。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そんなこんなで、昼休み。
 
 
 
 
  
乙羽達4人は、屋上という指定席で昼食をとることにした。
ここは最近まで不良達の溜まり場になっていたが、静雄や門田が昼食で
屋上を使うようになってからは、めっきり姿を見せなくなっている。
4人はフェンスに寄っかかるような形で座り、それぞれ思い思いにランチを始めた。
 
「お、皆守は購買のパンか」
 
「うん。最近のマイブームなんだよね、チョコチップメロンパン!」
 
「よく買えたな……いつも購買って昼休みになってすぐ売れちまうのに」
 
「購買のパンは美味くて安いからねー、並ばないとすぐ完売しちゃうよ。あーもう、チョコチップと
クッキー風パン生地がまた絶妙なハーモニーを奏でて……はぁ、幸せ。そうだ、静雄君も食べてみる?」
 
「!! いや、その、俺は……」
 
「いらないの?」
 
「察してあげなきゃミナモリさん。静雄は恥ずかしがってるんだよ、間せt」
 
「死ぬか新羅?」
 
「本気でごめんなさい」
 
「暴れるなよ静雄、埃が舞うから」
 
「そうだよ静雄君。せっかくの昼休みくらい喧嘩もお休みした方がいいよ」
 
「……あぁ、そうだな」
 
「誰も僕の心配してくれないんだね?」
 
ぐだぐだな会話。ゆるゆるな時間。だらだらな雰囲気。
それら全てをなし崩しにする人物が今、屋上の出入り口である扉を破壊しかねんような威力で思い切り開けた。
 
 
 
バ――ンッッ
 
 
 
「やぁ皆守乙羽ちゃん! 教室を見に行ったらいなかったからどこに行ったのかなーと思ったらこんな所にいたんだ! まぁドタチンも新羅もいなかったし多分そうだろうなーとかは思ったけどね! 長話も何だしせっかくだから僕と一緒に食堂で昼食でも――とか考えてたのに何でシズちゃんがここにいるのさ」
 
「い〜ざぁ〜やぁ〜……何しに来たんだテメェはよぉ?!」
 
臨也の台詞のほとんどは乙羽に向けられた物だったが、最後の一言だけは静雄に向けられていた。
眉をひそめる臨也に向かって、静雄は拳を叩き込もうと駆け出す。
 
「あ、静雄く……」
 
 
 
 
 
ドゴォッ!
 
 
 
 
 
「うわっ、危ないなーシズちゃん。壁がへこむ程強く殴らなくてもいいじゃんか」
 
「黙れ臨也ぁぁあああ!」
 
階下につながる階段がある小部屋の壁を思い切り殴った静雄は、そのまま臨也に回し蹴りを食らわせる。
臨也はそれを軽くかわして静雄とは反対の方向に逃げた。
が、その背後には乙羽の姿。
 
 
 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ