気付いた瞬間

気がつけば俺は海岸に横たわっていた。そばの海にはボロボロになったBJのと思われる残骸が浮かんでいる。


三闘神の暴走して世界が崩壊し、
魔大陸を脱出する最中BJもとばっちりを受け体勢を保てなくなっていた。

崩れゆく船体
次々に空の海に消えていく仲間達

そして何よりも自分のことより無意識にティナの方へ目を向ける。
あいつは驚愕と絶望が入り交じった顔で戸惑っていたが、船体が破壊される衝撃で上体を傾けた。
俺は叫ぶことよりも先に身を乗りだし、白くか細いそいつの腕を掴んでいた。

折れてしまうのではないかと思うくらい強く握っていたせいか、ティナは痛みに顔を歪ませていた。
何か言おうとした刹那、
船体が完全に真っ二つにされ二人して空という海の中墜ちていった。



それから温かな光に包まれたところで記憶がぷっつりと切れているが、
あの高さから墜ちた割には奇跡的にかすり傷程度で済んでいた。

そしてティナは何処にもいなかった。
まだあいつの柔らかく温かい腕のぬくもりが微かに残っている。

――ああどうしたってこんなにも胸がぽっかり空いたようになるのだろう――


2009.11.01



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