夢
□理解者
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私は女々しい奴なので、何かと理由付けるのが好きだ。
「ねえ、なんで妖ちゃんは私のことが好きなの?」
「・・・とうとう頭イかれたか?」
たっぷりと間を置いての返答が納得いかなくて蛭魔を睨むと、奴は素知らぬ顔でまた新たに雑誌のページを捲った。
私も私で、そんな興味無さ気な蛭魔には構わない。
「昨日布団の中で気付いてね、ずっと考えてたの。あ、それは逆で『なんで私は妖ちゃん好きなのかなぁ』だったんだけど。で、結局よく分かんなくて。起きてから考えようと思って寝たんだったってことを今思い出したの」
長くなってしまった説明を終えついた息が、誰かの溜息とハモった。
因みに、今この部屋にいるのは私と蛭魔の二人のみだ。
「・・・どこまで聞いてくれてた?」
「昨晩の妄想がどーたらの辺り」
「そんな表現は止めて。しかも肝心な所がすっぽ抜けまくりじゃないですか」
蛭魔の膝をつついて訴えると、はいはい、と言って奴は雑誌から少しだけ目を離し、私が口に入れてしまっていた数本の髪を指ですくってくれた。
因みに今の体勢は、ベットに座っている蛭魔の足を、床に腰を下ろしている私が枕にしているというなんともマッタリとしたものだ。
更に蛭魔といったら、さっきまで私の頭に雑誌を乗せて読んでいたのだから、全く、我ながら色気が無い。
でもこれでいいと思ってる。
それが何故なのかは、今は他に解決すべき問題があるので後に解明することにして。