..テニスの王子様..
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教室から社会科室まで頼まれた資料を持って行く途中、人にぶつかった。
往復するのが面倒で一気に運んだのがいけなかったのか、横から出てきた人に突っ込んでしまったのだ。
その人に謝り、散らばった資料を集めていると、その光景を見ていた親切な人が手伝ってくれた。
「すみません。手伝って貰っちゃって」
「いえいえ。困っている人が目の前にいるのに放っておけないですよ」
爽やかな笑顔。
だけど、やけに背が高いな。
見上げるのに少し首が疲れる。
散らばった資料が集まり、一つに集まると私は目の前の人に頭を下げた。
「ありがとうございました!後は大丈夫なので」
「さすがにその量を一人で持って行くのは大変だと思うので、俺で良かったら手伝います!」
笑顔が眩しすぎる!!←
にしても、この人は凄い良い人だな。
それはもうふたごに見習わせたいくらいに。
いっそ、彼から直々にふたごへ『人への思いやりとは!』について語って貰えばあの性格も少しは良くなるんじゃないだろうか。
「あ、それは無理です」
ですよねー
「ん?」
「どうかしました?」
「いや、何でもないです」
あれ、なんか一瞬おかしかった気もしたけど気のせいだろうか。
気のせいだろう。
「資料運ぶの手伝ってくれてありがとうございました。えーと」
「俺、鳳長太郎です!ちなみに2年なのであまり気を遣わなくて大丈夫ですよ。ななし先輩」
「あ、あれ、私名前・・・」
「ななし先輩とふたご先輩は双子なのですぐに分かりますよ!それに、最近部活の中では有名なので」
は、はぁ・・・
目の前にいる鳳君は、ニコニコと相変わらず笑顔が眩しい。
ちょっと、尻尾を左右に振る犬に見えたのはここだけの話。
断じて心の中を読める子だなんて思ってないからね!
こうして、また一人テニス部に知り合いが増えたのでした。
この調子でいったら、全員コンプリートするかも!
「部員は200人以上いますけどね」
「そうなんだ」
最初はテニス部に極力関わりたくないと思っていたのに、今では乗り気な私がいてちょっと可笑しくなってしまった。
でも、やっぱりテニス部は変な人達の集まりだなと改めて思いました。作文