..テニスの王子様..
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「ようふたご。お前、さっき帰ったんじゃなかったのか?」
私が陸上部の練習が終わり、帰宅しようとした時、後ろから声を掛けられた。
青い帽子を被った爽やかボーイである。
顔が似ているせいでふたごとはよく間違えられるが、最近前よりも増えた気がする。
少しでも間違えられないようにと思って、私は髪の長さを肩に付くか付かないかのくらいにしている。
ふたごはロングで腰くらいまであると思う。
「ごめんね。私はふたごじゃなくて、双子の方なの」
「あ、わりぃ」
なんか、小さな声で激ださだぜという台詞が聞こえてきた気もしなくもないが、気のせいかもしれない。
素直に謝る少年に、私はいつものことだからと言い微笑んだ。
一瞬、青帽少年が固まったが、私が不思議そうに見ていると帽子を深く被り声を発した。
「今から帰んのかよ?」
「そうだよー!早く帰ってご飯の支度しなきゃだ」
ふたごに任せたらとんでもないことになるし。
私達の両親は海外で働いているため、二人でアパートに暮らしている。
ふたごは頭は良いけど、どうも家事が苦手のようで、この前一人で任せたら大変なことになった。
それはもう、警察沙汰で。ぇ
「暗いし、あぶねーし、送ってってやる」
「え!大丈夫だよ!?」
「こんな時間に女一人で帰らすなんて激ださなんだよ!」
あ、気のせいじゃなかったわ。
激ださ。
彼の口癖なのだろうか。ぷぷ←
「激ださ君、よろしくお願いします」
「ば!!俺は宍戸亮だ!!!」
「宍戸君、私はななし!よろしくね」
話を聞くと、彼もテニス部らしい。
大抵、ふたごが絡むとほぼテニス部だなと思いつつ、何気ない会話をしながら家に帰るのであった。
あれ…
宍戸君、今までで一番まともな人かもしれない。←
「ただいまー、今日ね。宍戸君に送ってきて貰ったんだ」
「あぁ、激ださシャイボーイね」
そして、ふたごはいつからこんな口の悪い子に育ってしまったのだろう。ぁ
食事の支度をしながら、前以上に生き生きとしている姉を横目で見て、笑みがこぼれるのであった。