..テニスの王子様..

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昼休み、体育での忘れ物を取りに体育館へ行き、教室へ帰る途中、何かにつまづいた。

不意を付かれたものの、何とか体制を保ち地面との挨拶は避ける。



「び、びっくりしたー。一体何につまづいた・・・人ぉお!?」


そこには、気持ちよさそうに眠っている男子生徒がいた。

確かにここは日が当たって気持ちよさそうに眠れそうな場所ではあるが、さすがにここで寝ていたらいろんな意味でビックリである。



「あのー、こんなとこで寝てると踏まれますよ?」



男子生徒は起きる気配が全くなく、なおも寝続けている。

そんな男子生徒の図太い神経にも驚きだが、なんとも憎めない可愛い寝顔である。ぁ



「(髪の毛ふわふわしてて触ってみたいな)」



なんて、考えたことが間違いだったのかもしれない。

私はゆっくりとその男子生徒の頭へ手を伸ばした。



「Aー!ふたごじゃん」


視界が反転したかと思うと、私はその男子生徒に組み敷かれていた。

にしても、良い笑顔だな。



完全に寝ていたとばかり思っていたため、抵抗もなにも出来なかった。

あぁー、もっと警戒しなきゃだ!



「私、ふたごじゃないよ。ふたごの双子」


「噂の双子かー!普段、ふたごにイジメられっぱなしだから今日こそはーって思って乱暴にしちゃったけど、ごめんねー」


「とりあえず、そこを退こうか」


「えー、やだ」



お互い笑顔で見つめ合う。

甘い空気なんてものは微塵もないが。


一瞬イラッとしたが、私はふたごと違い暴力的ではない。←



「えーと、まず君はテニス部の子なんだろうけど名前教えてくれない?」


「芥川慈郎だC」


「ん、分かった芥川ジロー君。私は名無しななし。で、何で君はどいてくれないのかな」


「Eー、おもしろそうだから?」



満面の笑みで、新しいおもちゃを見つけたような顔をしている芥川君。

天使のようで悪魔のような子だな。


この場から、どうやって逃げようか考えつつ、スゥッと息を吸った。



「ふたご呼ぶよ?」


「むぅ」



えぇ、頼りますともふたごに!

基本、自分でどうこうするの面倒なんだもの。



「ふたごにイジメられたくなければさっさと



ぐー



「ってあれ?」



もしかしなくても、この子寝てなくないですか!?


ちょ、だんだん芥川君もたれ掛かってきてるし!


さすがにこの体制はキツいんですけども。

いろんな意味で。


とりあえず、ダメもとでふたごを召還。

ホントに助けに来てくれた時には、持つべきものは双子だなと実感しました。



目の前で眠り呆けている芥川君の頭をこれでもかってほど撫で繰り回して、満足した私は後はふたごに任せて教室に戻るのでした。


あれ、デジャヴ?

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