..テニスの王子様..
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「もう頼れるのはななししかいない!」
「わ、分かったよ。そこまで言うなら」
必死に頭を下げる陸上部の友達に焦りながら私はふぅと一息吐いた。
大会まで1ヶ月を切ったようだが、選手の一人が骨折してしまい、大会に間に合わないらしい。
そこで助っ人として頼まれているのが私、名無しななし。
自分で言っちゃなんだけど、運動神経には少し自信があり、毎回いろんな部活の助っ人として活躍をしている。
いろんな筋肉を使ったりするため、格闘技に繋がり、自身の特訓にもなるから良いといえば良いのだが。
時々、自分が何部なのか見失う。ぁ
「頼まれたからには、期待に応えられるように短い期間になるけど全力で練習するね!」
「ありがとう!競技種目だけどね、高跳びなの」
「ん、分かった。今日の放課後から練習に参加するね」
教科書を机の中から取り出し、授業の用意をする。
運動神経が良い分、頭の方がちょーっとばかり悪いから授業をサボるなんてことは到底出来ない。
何処かの誰かさん(ふたご)は頭も良くて運動も出来るっていうのに
世の中不公平だ。
「よろしく!あと一つ朗報、お姉さんにファンクラブが出来たみたいだよ」
「ブハッッ!え、え、マジで?何で」
「あはは!驚きすぎ!この前お姉さん呼び出されて、その一部始終を見てた人がファンになったみたい☆」
「へー・・・」
じゃあ、よろしくね!と立ち去る友人。
私はダラーッと机にもたれ掛かった。
確かに私から見ても格好良かったとは思うけど
姉は何をやっているのだろうか。真顔
「よー。なんつーか、冴えない顔してんなー」
「あ、がっくん。いや、ちょっとふたごの話を聞いてさ」
「あー、ふたごの奴なー」
ふたごと聞いて苦笑いを浮かべるがっくん。
あれ、ふたごの事知ってるのかな?
ちなみに、がっくんとは同じクラスで席がお隣さんだからよく話す仲である。
「あ、そうだ。がっくんに聞きたいんだけど、高く跳ぶためには何をすれば良いのかな」
「まずは、足腰を鍛えることだな!高く跳ぶためには欠かせない基礎体力な!」
「うんうん」
「それと、高く跳びたいっていう気持ちな!まるで自分の背中に翼があるイメージで」
「う、うん?」
それから向日岳人、通称がっくんは授業中もずーと高く跳ぶことについて熱く語ってくれました。
おかげで全然、授業に集中出来なかったけどね
可愛いから許すよ!!←
「さすが、がっくん。また部活でいろいろ教えてね」
「部活?」
「あれ、がっくんって陸上部じゃないの?」
「・・・」
あれ、なんかさっきまでの和やかな空気が一気に消えたんですけど。
なんか、会話に参加してなかったクラスの子達も一斉に私をガン見してるんですけど。
ちょ、怖いんですけど
「あー!くそくそ!ななしの馬鹿!俺はテニス部!」
「え!そうだったんだ。ご、ごめん」
「ジュース1本な」
「あ、はひ」
だから、ふたごの事を知っていたのか。
にしても、天使ながっくんのあの反応。
やっぱりふたご、部活で何してるんだろ。
今度、こっそり覗きに行くこと心に決め、休み時間はがっくん様々のジュースを買いに自販機へ走るのであった。