..テニスの王子様..
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「ななし、今そこ歩いてたのお姉ちゃんじゃない?」
「ん、どこどこ?」
「ほら、あっちの方。あれ、一緒に歩いてるのテニス部ファンクラブの子だと思うけど、呼び出しかな?マズいんじゃない」
友達と教室で休み時間を過ごしていると、何かを見つけた友達が窓の外を指さした。
そこにはふたごとファンクラブが一緒に歩いている姿が。
早速、面倒事に巻き込まれてるよ、あの子(泣)
友達にちょっと行ってくることを伝え、私はこっそりと後を追いかけた。
堂々とは行けない。
だって、私はふたごと違ってチキンハートだもん!←
人気の無い校舎の裏側まで来て、草むらの中に身を隠す。
ここからじゃ、何を話しているのか会話は全然聞こえてこない。
でも、何を話しているのかは大体予想が付いた。
「(ここまで追いかけてきたのは良いけど、どうしよう)」
とりあえず、ふたごの身が危なかったら飛び出そう。
ん、でもあれ。
あの女子が握ってるの、カッターじゃないか?
え、何、あれで何する気なの
ちょ、早まるなよ、女子A!
そんな私の気持ちも知らず、これまたお約束通りにふたごに飛びかかる女子A。
「ふたご!!!」
危ない!と飛び出したが事の早さに追い付けそうにない。
全身の血液がサッと引いたのが分かった。
スローモーションに見えた視界に写るのは、余裕そうに鼻で笑うふたごの姿──
「私を誰だと思ってるの」
一瞬の出来事だった。
襲いかかって来た女子Aのカッターを回し蹴りで弾き飛ばし、息切れ一つせず立っているふたご。
思わず尻餅を付いて青ざめた顔で怯える女子A、その後ろでポカンと立ち尽くす女子B他。
ザパーン
「ふたご、ブフッ、だ、大丈夫?」
「ななし、今笑ったのバッチリ聞こえたからね、覚えておきなさいよ」
状況を説明すると
格好良くカッターを弾き飛ばし、ふたごがドヤ顔で立っていたところ、上の階から水を掛けられ、全身ずぶ濡れになり、髪の毛がペタっとなって貞子状態、思わず周り一同がクスクスと笑っている←今ここ。
「あんた達ね、一つ言っておくわ」
顔に張り付いた髪をいつもの様に手で後ろに払いのけ、とびきりの笑顔を浮かべるふたご。
これは、相当怒っているな。あぁ。
「私は、別にテニス部に媚びを売るためにマネージャーになった訳じゃないわ。私が目指してるのはそんな小さな事じゃない。氷帝テニス部、全国制覇、それだけよ」
兄ちゃんの為にも。と付け足して小さく呟いたのを私は聞き逃さなかった。
あぁ、そうか。何で今更になってふたごがテニス部のマネージャーになったか
凛とした声で言い切る姿は双子の私から見ても格好良かった。
髪は悲惨なことになってるけどね!←