..はじめの一歩..

□7
1ページ/1ページ








「青木さーん!ラーメン食べに来たよぉー」


「青木さん、こんにちは!」



ここは、青木さんが働いているラーメン屋さん。


よくみんなで食べに行くのだが、今日は暇そうな幕之内君を誘って二人でランチに来たのである。


お店の中に入った途端、美味しい匂いが漂ってきてお腹がキュルルルとなる。




「なんでぃ、二人揃ってデートかよ」


「「違いますよ」」


「(からかおうと思ったのに、サラっと返しやがった)」




目の前に出された味噌ラーメンをほうばりつつ、青木さんを眺めた。


鮮やかなラーメン裁き。

そして、無駄のない水を切ってからの汁の注ぎ。



さすが、大将。(違う)



「あ、幕之内君の醤油ラーメンの汁ちょっとちょうだい!」


「え、はいどうぞ」



「店内でのイチャつきはやめてくれ」



「あ、そういえば青木さん次の試合いつですか?」



レンゲでコーンをすくっては食べを繰り返し、ふと疑問に思ったことを聞く。


そういえば、他の人達の試合もまともに把握していない。毎回応援には行くのだけども。



「おま、そんなことも知らなかったのかよ。俺らの試合は1ヶ月後だぜ」



手を止めることなく、青木さんが教えてくれる。


もうそんな時期なのか、通りで最近ジムの練習がピリピリし始めたはずだ。



特に鷹村さんとか鷹村さんとか鷹村さんとか。



減量中の鷹村さんには極力近付きたくないほど、彼は荒れるのだ。




「じゃあ、張り切って応援行きますね!頑張って下さい!」




餃子までサービスしてもらい、満腹になった私達はラーメン屋を出た。


お互い並んで、川沿いを歩く。


ポカポカな天気に少しだけ睡くなった。




「幕之内君にとって初めての試合になるのかな?」


「そうなんだよ。はぁー!緊張するなぁ」




緊張を取るためにブンブンと腕を回す幕之内君がとても微笑ましい。

1ヶ月後とはいえ、初試合なら誰でも緊張するだろう。




「幕之内君、勝ったら美味しいもの食べにいこ」



「そうだ「もちろん幕之内君の奢りで!」




あんぐりと口を開ける幕之内君に冗談だよっと言い、クルっと背を向ける。



足のつま先に力を入れ、一気に走った。





「向こうの橋まで競争ねー!負けた方の奢りって事で!」



「名無しさぁぁあぁん!走り出してからそれ言うのズルい!!」





毎日走ってる幕之内君に適うはずもなく、あっさりと追い越されるのであった。










.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ