..はじめの一歩..

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「・・・ゲホッゲホ」



風邪を引いたのはもう何年振りだろうか。


熱を計ると39度もあり、自分でも驚いた。


学校もバイトも休み、今日は一日家に引きこもる。


誰もいないアパートに少し寂しくなったが、無理矢理目を瞑り寝ることにした。













ピンポーン、



「ん、誰だろう・・・」



身体が重い。

まだ熱も下がってないみたいだし、居留守をしよう。





ピンポーン、




辺りが静まりかえる。








ピピピピピピピンポーン





「だぁぁあぁあ!!!!うっさいんじゃぁぁあ!!!!」


「ようななし。元気そうじゃねーか」



「鷹村さんっ!と、宮田君も!?」


「どうも」



なんて珍しい組み合わせ!?


と思いつつ、私は二人を家の中に招いた。


宮田君の手にはスーパーの袋が握られており、何やらいっぱい買ってきてくれたようだ。


チラッと見えた、プッチンプリンにテンションを上げつつ、姿の見えない鷹村さんを目で探した。



「って、人の部屋で勝手にくつろいで漫画読んでる!」


「ななしの家に来れば、新刊が必ず置いてあるからな」



ちょ、何しに来たんですか。この人は。



「それに、どうせ寂しがってたんだろ?」


「!」



何も言い返せなくて、私はそっぽを向いた。


両親は私が中学生の時に交通事故にあって亡くなっている。


それから、ずっと一人で暮らしているのだが、急にいなくなってしまった家族に時々どうしようもない気持ちでいっぱいになるのだ。



「お見舞い、ありがとうございます」



鷹村さんは太陽みたいに二カッと笑い、短い返事を返してくれた。


その向こう側で宮田君がゴソゴソと何かを始める。


きっと、鷹村さんだけじゃ看病にならないと思って来てくれたのだろう。



「キッチン借りるぞ」


「宮田君!イケメン!貴方はイケメンの中のイケメンだ!!」



どうやら、私が朝から何も食べてないことを見越してか何か作ってくれる模様。


どこぞの鷹村さんとは違うね!


そんなことを思ってたけど、ふらつく身体を支えて私をベッドまで運んでくれた鷹村さんには鷹村さんなりの優しさを感じた。


宮田君の美味しいお粥を食べ、薬を飲み、帰る二人を見送って、私は布団に潜り込んだ。



早く風邪治そう。








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