..はじめの一歩..
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「たのもぉおぉおーー!」
「ななしちゃん、毎回シチュエーションを変えてジムに入ってくるの色んな意味で感心するよ」
「ま、あきねぇわな」
扉を開けて、温かく(?)迎えてくれたのは木村さんと青木さん。
散々私の頭を撫でくり回してクシャクシャにした後、幕之内君を連れて奥の部屋に入ってしまった。
「私も、やることやらなきゃ」
汗で滑りやすくなっている床をモップで拭いたり、散らかっているものを片づけたり、洗濯するものをまとめたりといつもの要領で雑用をこなす。
途中、会長さんが入ってきたので挨拶を交わし、一休み。
会長さんのいつも以上に生き生きした姿を見ていると、私も幸せな気持ちになった。
「ななし、顔が歪んでるぞ」
「げ、鷹村さん。いつの間にやってきたんですか」
「んだぁ?目上の人に取る態度がなっちゃいねーな」
「ぎゃぁあぁあ!ちょ、スカート捲り上げるのだけは勘弁して下さい」
「「おぉおぉぉ・・・!」」
「馬鹿もん!お前達は何をしている!とっとと練習せい!!!」
会長さんの一喝がなければ、あやうく、公開処刑されるところだった。
私は、顔を真っ赤にさせながら、必死でスカートの端を押さえ鷹村さんの後ろ姿を睨む。
鷹村さんは、ひらひらと手を振り、ロード言ってくるわ、と一言。
それにつられ周りも練習を再開する。
戻ってきた青木さんと木村さん、
なんかやましい目でこっち見ないで下さい。
幕之内君、顔真っ赤。もう、なんていうか可愛い。
そして鷹村さん。死んで下さい。ぁ
「小僧!ガードが下がってるぞ!もっと上げろい!」
「はい!」
「腰の入りがなっとらん!」
「はい!!!」
これだけ会長さんが気合いを入れているんだ。幕之内君は余程の期待の星に違いない。
スパーンと気持ちの良い音を立てるミッドのリズム感に感心しつつ、今日の晩御飯何にしようか考えていたのはここだけの話。
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