宝箱

□【カレーに纏わるエトセトラ】
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 珈琲をブラックで飲むヒル魔もムサシも甘党ではない。

「腹減ったな、糞ジジィ。駅前のカレー屋寄ってかねぇか?」
「またカレー屋か?まぁあそこの店安いから文句ねぇが、おまえホントにあの店好きだな。」
 そんな二人が中学で出逢って、ヒル魔の押しの一手で付き合い出してから、よく部活帰りに学校の近くのカレー屋に立ち寄っては、腹を満たしたものだった。
「ヒル魔、お前よくそんな辛ぇの喰えるな」
呆れたようにムサシが、隣に座るヒル魔を横目で見やる。
「カレーが辛くなくてどうするんだ、糞ジジィ。」
ニヤリと笑うヒル魔は、この店がお気に入りだった。 特別味が旨いわけでもなかったが、カウンター席しかなかったので、必然的にムサシと隣同士で座れるのが、単純に嬉しいのだ。
 辛いものには滅法強いヒル魔は、いつも店で一番辛い地獄カレーで、ムサシは普通の辛口を頼むのが定番だ。
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