Novel:Blue 3

□+続きは昼休みに+
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弁当を作っていたら、背後から伸びてきた腕に腰を抱かれた。


「火澄、邪魔」
「朝から冷たいなぁ、歩。挨拶のチョイスとして、それはNGやで」


すりすりと首筋に擦り寄る火澄を放置して、歩は彩りよく詰めた弁当の蓋を閉める。


「今日も楽しみやなー、愛情たっぷり歩特製弁当」


悪戯に撫でさすってくる手をはたき落としながら、しれっとした表情で歩は口を開いた。


「愛情?悪い、入れ忘れた」
「別添えでも構わないんやけど」


くるりと火澄に向かい合わせに身体を抱き寄せられる。
屈託のない笑みを浮かべる火澄から逃げ損なった歩は、近づいてきた顔を加減しながら押し退けた。


「バカ言ってないで、さっさと支度しろ。遅刻するぞ」


むくれた表情で口先を尖らせる男の襟を引っ張って、歩は触れるだけのキスを贈った。
呆気にとられたまま固まる火澄を他所に、手早く作り上げた弁当を布袋に入れていく。


「あーもう!今食べたい!!」


差し出された弁当を両手に、頬を赤くした火澄がそう叫ぶ。
そんな火澄を尻目にエプロンを外した歩は、背後で喚いている火澄に悟られぬよう、こっそりと笑い声を零した。



+fin+

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