Novel:Blue 3

□+あなたもわたしも+
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「青山ぁ、いちごポッキー一緒に食べよー」


右手にピンクを基調とした長方形の紙箱を持った芳賀が、満面の笑みでそう提案してきた。


「じゃあ、一本だけね」


そう言って小袋を開けた芳賀の手元に指先を伸ばすと、既に一本を口に咥えた芳賀に手を取られてしまう。
ドキドキと驚きだけでない心拍数の増加に、僕はこっそりと深呼吸を数回してから顔を上げた。
招くように口先を動かし、上下にいちごポッキーを揺らす芳賀を見て、僕はなんとなくその意図を察して赤面する。


「えっ、ポッキーゲーム的な意味?!」
「ん」
「やだよ恥ずかしい」
「んんー」


元から僕がそう答えるのが分かっていたような表情をしながらも、芳賀は残念そうに少しずついちご味のポッキーを食べ進めていく。
ちらちらと芳賀の瞳が合うと、言外に望みを訴えてくるようで、その度にチクリと胸に痛みがはしる。


「芳賀、ストップ」


チョコが無くなる寸前で、僕は覚悟を決めて声をかけると、芳賀は素直に動きを止めた。


「ん」


徐に顔を近づけていくと、反射的に顎を引かれそうになったため、素早く芳賀の後頭部に手を添えて固定させる。
軽く、啄ばむように芳賀の唇に触れ合わせ、プレッツェル部分を奪う。
さくさくと音をたてて咀嚼する僕を、呆けた表情で見つめる芳賀。
ワンテンポ遅れで恥ずかしくなった僕は、目元を赤くしたまま、甘酸っぱさに顔を背けたのだった。



+fin+

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