Novel:Blue 3

□+猛暑+
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「あちー…アイス食いてー…」
「…ねえ芳賀。やっぱり帰ろっか…」
「あー…」


ぐだぐだと、だらだらと。
夏休み中だというのに制服を着て、芳賀と二人きりで教室に残っているのは、夏期講習があったからだ。
僕たちの他に数人受けていたが、14時という微妙な時間に講習が終わると、即座に荷物をまとめて出て行ってしまった。

真夏の太陽が照りつける中を歩きたくないと意見が一致した僕と芳賀は、蒸し暑いけれど直射日光は避けていられる教室内に、暫し留まっていたのだった。
水分補給のためと登校途中で買ったスポーツドリンクは、すっかりぬるくなってしまっている。
ただ不味いだけになってしまったそれを、僕は味わうことなく一気に飲み干した。


「室内でも、熱中症…」


には気をつけないと、とか。
になりそう、とか。
そんなことをぼうっとした頭で考えていたら、ふっと視界が芳賀でいっぱいになった。
自分よりも熱い、柔らかいものが唇に押し付けられる。


「ちょっ…いきなり何!?」
「何って、青山から誘ってきたからしたんだけど」
「はあ?」
「“ねっ、チューしよう”って」


思考が一部分だけ呟きとして漏れていたらしいが、まさかそんな風に芳賀に捉えられたなんて。
訂正するのも面倒で、僕は熱に支配されたまま、芳賀にキスを返した。


+fin+

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