Novel:Blue 3
□+心を溶かすような口づけ+
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「ねえ、ちょっと見てよ芳賀」
青山に呼ばれて教室の窓から校庭を見下ろすと、見知った男子高生のデレデレした顔が目に付いた。
「…お?あれって隣のクラスの奴だよな」
「隣にいる彼女、一学年下の子らしいよ」
「マジか。ここんとこアイツ花飛ばしてると思ったら、付き合い始めたのか」
頭一つ分、身長差のある二人は談笑しながら、時折幸せそうに見つめあっている。
その空気を運んできたような風がふわりと吹いて、俺らのいる窓辺のカーテンを膨らませた。
「なあ青山」
「んー?なにー?」
校門をくぐって行ったカップルを見送った青山が、返事とともに俺の方を向いた。
カーテンが静かに、俺と青山を包み込んで二人きりにする。
「好きって言って」
「は?」
「この場でキスするか、好きって言って」
俺らもあんな風に、揺るぎなくお互いを想い合っているんだって今すぐ確かめたかった。
青山が呆れた表情をする前に、俺は触れそうになるギリギリの距離まで顔を近づける。
「好きだよ。青山」
俺がどんな顔をしていたのかはわからない。
けれど、驚いてまるくしていた瞳を細めた青山は「何張り合ってんだか」と小さく笑って、キスをひとつくれた。
+fin+