Novel:Blue 2

□+Present for you+
1ページ/1ページ



「誕生日おめでとう、カノン」


言葉とともに真紅の薔薇の花束を差し出され、漸くアイズが此処に来た意図を知る。いつもは昼頃に来て夕方には帰って行くのに、今日(数秒前に昨日となったが)は時計の針が今にも重なろうとする時間帯にやって来たのだ。


「……カノン?」


驚きのあまりソファから立ち上がった格好のままフリーズしている僕を、傍に寄ってきたアイズが不安そうに見つめてくる。僕よりも少し低めの身長の成せる技、上目遣いにノックアウト……ではなく。僕がアイズからの贈り物を断るはずがないじゃないか。
謙虚な彼を安心させるよう、微笑して受け取る。ふんわりと束ねられたそれは、鮮烈な芳香を放って辺りを包み込んだ。


「候補が十もあって…」


迷ったんだが、とアイズは言いにくそうに語尾を小さくしながら僕から視線を外してしまった。そんなアイズを目の前にして、僕はよく劣情を制御できたと思う。
頭の片隅で、そういえば数日前に好きな数字を聞かれたなあと思い出した。あの問いはもしかして、


「僕へのプレゼントを選んでくれてたの?」


やや間をあけてから、僅かにアイズの首が縦に振られる。眉は寄せられているが、白い頬にほんのりと赤みがさしていてとても可愛い。
花束をそっとソファに置き、男にしては華奢な身体を捕まえる。


「好きだよ、アイズ。大好き!」
「……カノン、苦し…っ」


ぎゅうぎゅうと擬音をつけるくらいキツく抱きしめていると、くぐもった声があがる。その声にはっとした僕は、力をゆるめてアイズの肩に顔を隠すように埋めた。熱い。頬の赤みはアイズ以上かもしれない。


「ありがとう、アイズ…」


大好き。そう耳元で囁けば、言葉の代わりに背中に腕をまわされた。それだけで十分伝わる想いに、胸がいっぱいになる。
腕の中に確かにある特別で大切な存在に、今はただ、感謝するばかり。



+fin+
Happy Birthday Kanon!!
いつまでもだいすきです♪
素敵な企画に参加させていただき、本当にありがとうございました!(・∀・){若干修正済みです

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ