Novel:Black

□+見果てぬ夢の彼方+
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そっと、アイズを起こさないように、再びシーツに潜り込む。
冴えてしまった目と頭。
ふと、昨日を振り返る。

海外から帰国したばかりのアイズに、一刻も早く会いたくて。
深夜にも関わらず、香介は彼が暫く滞在するという高級ホテルへと向かった。



「よう、相変わらず豪勢だな。」
「……アサヅキ。」



ソファに腰を下ろして一息ついていたアイズは、突然の訪問者に目を見張った。
そんな彼の態度に小さく笑って、香介はアイズがいなかったときの話をし始める。



「帰らないのか?」
「冗談言うなよ、終電もないのに。」



どう帰れというんだ?と軽く笑う香介に、アイズは溜息を吐いた。



「俺は寝る。」
「おー、じゃあ俺も寝るかな。」

「……何故お前もこっちに来る?」
「細かいことは気にするな、ハゲるぞ。」
「………」



結局、あいつは俺のことを仲間としか見ていない。
自分もこの関係を壊そうとは思わないし、壊すつもりもない。

可愛い悪戯ということにして、香介はアイズの寝巻きを僅かに寛げ、露わになった鎖骨の辺りにひとつ、紅い華を咲かせた。



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