Novel:Black

□+再確認+
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「………」



先に着いて待っていた彼女がナンパされているのを理解した香介は、むっとした。
いつの間にか止めていた足を動かして、再び全速力で亮子の元へと向かう。



「――来ない奴なんて放っておいて、俺と遊びに行きましょうよ、亮子先輩。」



先程から、同じ言葉の繰り返しだ。
亮子は内心うんざりしながら、小さく溜息を吐いた。





遡ること、10分前。
香介が来た瞬間に、右ストレートをお見舞いしてやろうと考えていると、突然近くで名前を呼ばれた。
声のした方に顔を向けると、見知らぬ男が笑顔で立っていた。



「今日は、高町先輩。」



聞けば同じ月臣学園の生徒で、一年年下。
亮子のファンで、よく練習をみているのだと言う。


始めは自分を慕ってくれていることに嬉しくなり、部活のことなどについて少し言葉を交わした。
しかし話すにつれ、段々と馴れ馴れしくなり、亮子を強引に誘うのだ。


今日は約束があるので無理だと言っても、全く聞く耳を持たない。
慕ってくれていることは嬉しかったが、その態度に辟易する。



「ね、いいじゃないですか。どうせ来ないですよ。」



いい加減きっぱり断ろうと、亮子は口を開く。
と、同時に腕を誰かに掴まれた。






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