Novel:Black
□+desire+
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「――…だから?」
ひよののいる窓際から数歩離れた場所。
ほぼ指定席になっている椅子に腰掛け、歩は雑誌から顔もあげずに答える。
『「だから?」じゃありませんよっ!』
歩の口振りを真似て、やや声を張り上げる。
『さっきから雑誌ばかり読んでるじゃないですか!』
歩は雑誌を閉じた。
ようやっと、むくれたひよのの方に視線を寄越す。
「構って欲しいのか?」
『べっ、別に寂しいなんて思ってません!!』
ふんっ、とひよのはそっぽを向いた。
「くっ、」
微かに笑みを漏らして、歩は目を細めた。