Short Story

□マシマロの夢をみる
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「じゃあなー!ルーク」

「うん、また明日!」


──同級生が別れの挨拶を交わし、多くの者達が親しい友人や恋人と一緒に下校していく。
それは何処でも見られるような、もはや当たり前となっている日常風景。

彼、ルークという少年もまた、そんな平凡とした日常生活を過ごしている高校生の一人であった。


(うわ…急がなきゃ!)


そして、ふと腕時計に目を落とし、現在の時刻を確認したルークは、少し小走りで自分達一年生の下駄箱へと向かう。
担任の話によって帰りのホームルームが長引いた為に、校門で約束してる待ち合わせに遅れそうな時間となっていたのだ。


「──アスラン!ごめん、お待たせっ!」

「…っと、ルークさん。いえ、私も今来ました」


そうしてゼェゼェと息を切らせて校門に現われたルークを、銀髪の長身でアスランと呼ばれた青年が笑顔で迎える。
アスランもルークと同じ高校に通う三年生の先輩であり、また恋人同士という甘い関係の相手でもある青年であった。


「…あの、アスラン。前から思ってたけど…」

「…ん?なんですか」

「えと…いい加減にさん付けと敬語止めませんか?俺の方が年下だし…」

「ええ?…これはもう癖ですからね。今さら直りはしないですよ」


しかし、初めて出会った時から今まで、アスランがルークを呼び捨てたりしたことや、その敬語を崩したことも無い。
どこか拗ねたような顔をしてお願いをするルークに、アスランがクスクスと笑ってそう答えながら片手を差し出してきて。


「さ、帰りましょうか」

「…しょうがないですね。うん、帰りましょう」


ルークもまた、フッ…とどこか諦めたような笑みを浮かべると、そう呟きながらそっとアスランの手を取って握る。
そして、二人は寄り添うように肩を並べて会話を交わしながら、ルークの家に向けて黄昏時の道を進んでいくのだった。




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