短編集

□なんて無謀な恋をする人
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わたしの部屋に着く頃には空はだいぶ明るくなっていて、わたしを降ろした義勇はすたすたと勝手知ったるように湯浴みの準備を始めた。またあれをされると思うと身体がぞくりと震えた。嫌だと言ってもきっとやめてはくれないのだろうけど。






「来い」

「はぁい」




数刻後、こちらに顔を覗かせた義勇は手拭いを腰に巻いただけの姿で、わたしもおずおずと着物を脱いだ。大きめの手拭いで身体を隠すけど、これも意味をなさなくなるのはそう先の話でもないことをわたしは知っていた。湯気の立ち込める中で、義勇に手を引かれる。足元からお湯をかけられて、なんて甲斐甲斐しいのだと思うのはいつものこと。




「何故いつも手拭いを巻いてくるのだ」

「は、恥ずかしいからでしょ!」

「お前にも恥じらいがあったのだな」

「ありますよう少しくらい……っていうか普通じゃないし、こんなこと」

「お前が普通という言葉を使うとはな」




腰あたりまでお湯をかけられて手拭いを剥ぎ取られる。一糸まとわぬ姿にされて、未だ慣れない羞恥に頬を染めた。湯船の縁に腰掛けた義勇が、わたしの後ろから手を伸ばして義勇の上に座らさせられる形になる。片足を持ち上げられて躊躇なく開かれた足の間にこれまた躊躇なく義勇の長い指が伸びた。






「っ、ふぁ……ん、!」





びくびくと身体が跳ねる。義勇の長い指が膣に差し込まれて、ナカに残ったものを掻き出すように擦られる。これはいつも、無惨に抱かれた後にされる行為だ。文字通り、わたしが孕んでしまわないようにされるそれにわたしはいつも羞恥心と快楽に溺れさせられるのだ。






「っ、やだ、ぁ……!」

「鬼の子など孕んだら笑えぬぞ、大人しくしていろ」

「っ、はぁ……ん、!」




敏感になった身体に強すぎる刺激。自分でやると言ったのは何も一回ではなくて、それでもわたしの小さな手指では届かぬと制されて毎回こんな目にあう。たしかに鬼の子を孕むなんて流石に勘弁したいけど、それにしたってこれは。





「っ、あ、あ……っ、!だめ、!」

「イけ。その方が蜜が溢れて残ったものも流れる」





義勇に身体を預けて、ふるふると首を振りながら達する。きゅう、と長い指を締め付けて。





「っ、んん……は、」

「出てきたぞ。悍ましいものが」





白くどろりとしたものが膣から溢れて、義勇はそれを湯で流した。一回で終わればまだ楽なのに、こうやって達するのをわたしが気を失うまでされるのだ。頭がおかしくなりそうな快楽の中でわたしは義勇に縋るしかなくなる。




逞しいその胸板に手を伸ばせば義勇が緩く微笑んだ気がした。











なんて無謀な恋をする人
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