「っ、あ、」
いつだって感じてたのは、もどかしさ。
それだけで。
「なんだ、もう立っていられないのか?」
「っ、ふらふら、する、」
「まだだよ、」
「っ、」
後ろから、容赦なくわたしの首筋に牙を突き立てる李土。
頼れるものがなくて、ぐらつくのは体か、はたまた。
(心か、)
「っ、」
何度も何度も、この目で見てきた。
李土が、食らい尽くしてきたものを。
何度も何度も、わたしはその体が砂になって消えていくのを見ていることしかできなくて。
そこには、なんの感情もなかった。
ましてや愛、だなんてあるはずもなく。
「このまま食らい続けたらおまえも砂になって消えるだろうな」
「……そ、だね、っ、」
「何故笑う?」
「それもいいなって、思うよわたし」
ぐらり、と崩れる体をなんとか支え、目の前の壁に寄り掛かる。
振り向けばそこにはやっぱり、冷たい瞳を携えた李土がいて。
けど、それでもよかったんだ。
あなたに与えてもらえるならば、死さえ甘美な誘惑で。
愛してなんて言わないよ
(愛してくれなくていいよ、)
(だからどうか、その手で、)