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□あなたを忘れたら、あたしには何も残らない
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「ジャシンきょーって、いまいちわかんないんだけど」


「ああ?なんだ入りてぇのか」


「ちがうけどさー」











ジャシンさま、ジャシンさま。
わたしはあなたの流儀がわかりません。











「しちゃいけないことはだいたいわかるけど、」


「やっぱ興味あんだろお前」











ゲハハハハ。
相変わらず豪快な笑い方で飛段が笑う。


なんでか知らないけど、この笑い声を聞くと安心するんだ。
言ったら馬鹿にされるだろうから、絶対言ってやらないけど。











「とりあえず儀式はやらなきゃでしょ?」


「あー、そうだな」


「じゃあさじゃあさ、お葬式とかはどーすんの?」


「バーカ、死ねねぇんだからねぇだろ、そんなの」


「あ、それもそうかー」
















ゲハハハハ。


笑いながらぐしゃぐしゃわたしの頭を撫でる飛段。
くすぐったくて、髪がぐちゃぐちゃになっちゃうけど。
あったかくて心地良いのはもう、ずっとむかしから。




















「わたしは無神論者だから、お葬式はてきとーでいいよ」


「気がはえーなまったく」


「あ、灰を海に流して欲しいかも」


「ってことは火葬かぁ?」
















すりすり。
飛段に抱きついて、固い胸板にすり寄る。


そのぬくもりの中で終わることを、わたしは望んでたのに。





















あなたを忘れたら、あたしには何も残らない
(ねぇ飛段、暗い暗い奥底で眠るあなたにわたしは何をしてあげられる、?)


(お葬式のしかたも、お墓だってない、)
(どうやって心の真ん中にぽっかり空いた穴を埋めたらいいのかわかんないよ、)



























(「わたしのお葬式はね、飛段がいてくれればそれでいいよ」)
(「じゃあ俺の葬式はおまえ居ろよな」)
(「飛段のお葬式なんてないって、さっき飛段がいったのにー」)
(「だから、どこだろうが、どんなになろうが、おまえは見届けろよ、生きてるか死んでるか、もし死んでんならおまえひとりで葬式してくれりゃあいい」)




















(ねぇ飛段、約束だからね、)
(何年かかったって、この身がどうなろうと必ず、敵陣に眠るあなたの傍にいくよ、)













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