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□この熱は誰の所為?
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「あ、またはみ出た」


「相変わらず下手だな、貸してご覧」


「わ、やってくれるの?レイリー」













真っ赤な真っ赤なマニキュアを爪に滑らす。


けど、むかしから不器用だというのはまわりも自分も周知の事実で。


案の定はみ出た指先を見て、レイリーが一言。













「さすが職人さん、器用ー」


「歳の功だよ、長く生きているからね」


「あー、数え切れないくらい塗ってきたんでしょ、女の人の爪」


「そんな風に見えるか?」













するり、するり。


レイリーはいつも、つかみ所のない応え方をする。
わたしはそれがじれったくて、でもどうしてか心地良くて。


レイリーがわたしを見てくれる。
それだけで十分だった。


それだけで、自然と笑顔になれて。



















「レイリーすきー」


「っ、まだ乾いてないぞ?」


「だいじょーぶ、擦ったりしないって」















レイリーの首に腕をまわして抱き付く。


頬にキスを落として笑えば、レイリーも静かに笑ってくれて。





レイリーの過去のすべてを知ってるわけじゃない。
レイリーのすべてを知ってるわけじゃない。


けど今こうして触れ合えればそれだけでいい。
それだけで。






















この熱は誰の所為?
(「だーいすき」)
(「可愛いことを言う」)
(「頭撫でるなんて子供扱いー?」)
(「可愛いから、ね」)
(「ま、いっか、レイリーに触られるのきもちいーし」)










(そうやって笑えば、打って変わって不敵な笑みでわたしをベッドに沈める、)
(そんなあなたが、そんなあなたを、愛してる、)








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