Naruto Story
□CAN YOU SEE AROUND…?
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我愛羅は知っている。
姉弟だからというわけではないが、
我愛羅は知っている。
「我愛羅。今日の任務は比較的簡単だし、オレ1人でいけるじゃんよ。別に傀儡部隊、丸々1隊遣わすことないって!」
「風影命令だ」
鶴の一声。
ぶつぶつ文句を言いつつ風影室を後にするカンクロウの背を見送ると、我愛羅は書類に目を移した。
想像以上に多忙な風影の任に就いて間がないせいか、なかなか体が慣れてこない。只でさえ眠れない体なのに…
ふと窓の外へ目をやると、カンクロウが自身の傀儡部隊を率いて任務へ向かう所だった。
我愛羅は知っている。
カンクロウのあの言葉の真意を―…
傀儡師を一人でも多く護衛として我愛羅の側に置きたい。
何より、自身の実力を早く周囲に認めさせ、我愛羅の力になりたい。
好戦的で短気な上、粗野で不器用なこの兄に処世術など持ち合わせているわけがなく、それでも彼なりに考えたのが「強くなること」だった。
『風影を目指す』
そう打ち明けてから、カンクロウの傷が絶えた事はない。