小ネタ・呟き

小ネタ置き場。試験期間の主な更新場所。
ここの更新は履歴には反映されません。
ジャンルもごっちゃ、同性愛者もヘテロも女体化もパラレルもあり。
◆極東の小さな島にて(臨也+狩沢) 



 黒い男はため息をついた。
 路地裏、ゴミ箱に埋まって、ゴミまみれ。それでも今日は逃げられた。今日はと言うか、今日も。一体いつまで繰り返すのだろうか。たぶん、一生。
 コートに付着したゴミを払って立ち上がると、「あー」と呑気な声がした。
「いざいざだー」
 聞き覚えのある声に男がそちらを見ると、そこにいたのは黒い女。
「やあ、狩沢さん」
「シズちゃんと喧嘩してたってとこ?」
「そんな感じ、かな」
 そう言えば二人で話すのは初めてだ。などと言うことを、二人は同時に思った。
「ドタチンたちは?」
「今日はコスプレイベントの帰りなの」
「成程ね」
「ドタチンに会いたいなら一緒に来る? 今から待ち合わせしてるよ」
「そうだね、偶にはいいかな」
 それにしても、と男は立ち上がって、爽やかに笑った。
「君は俺に普通に声をかけるんだね」
「ん?」
「憎くはないのかい、君たちを厄介事に引きずり込む俺のことが」
「そうだね、」
 首を傾げて、女は答える。
「今のところは、私たちは誰も傷ついてないから許してあげる」
「そうかい」
「でも、傷付けるなら、容赦はしないよ」
 爛、と女の目が猫のように光った。男の喉が鳴る。
「やっぱり君たちは、面白いなあ」
「そう?」
「偶には君たちと過ごすのも悪くないかもね」
 変わった玩具を前にした子どものように、男も目を光らせる。
「本当? じゃあ、いざいざもコスプレしようよ」
「遠慮しとくよ」
「女装いざいざ見たいなー」
「妄想で補ってくれないかな」
「ドタチンもきっと喜ぶよ?」
「いや、それはないと思う」
 軽口を叩き合いながら、黒い二人は並んで歩く。
 極東の小さな島にて。今日も歪んだ日常は、続く。



好きなキャラ2人を絡ませてみた。な話。
お題はjoy( http://rosy.2.tool.ms/) 様からお借りしました。

2015/04/30(Thu) 16:18 

◆君の首を絞める夢を見た(正臣×臨也) 

「……いざやさん、」
 僕の腕の中、くったりと身を預けてくる臨也さんの体を揺する。
「いざやさん」
呼びかけてみるが、反応はない。さっきまで憎たらしく笑っていた顔には今はもう表情がなくて、むしろ青白い顔には死の影が漂っていた。
「……っ」
 突然、怖くなった。
 さっきまではこれしかないと思っていた。俺は臨也さんが憎くて、そして愛しい。ならば死んでしまえばいいのだと思っていた。
 なのに。
 なのに、どうして臨也さんは本当に死んでいるんだ?
 殺したのはオレだ。そう考えると身体がガクガクと震え始める。
 死んでしまえば、
 そう、オレも死んでしまえばいい。心中すればいい。そう思いながらも、オレは、死ぬことを拒んでいる。
 なんて、自己中心的なオレ!






タイトルは「炉心融解」歌詞より。
1日遅れで心中の日!

2015/04/11(Sat) 05:06 

◆拒めない悪癖(波♂臨♀→静) 



※先天的男体化&女体化
※心の広い方のみどうぞ





「ねえ波貴、しようか」
 ソファに膝を抱えて座り込んでいた臨美が、ふっと顔を上げて俺を見て、言った。
「ほら、しよう」
 伸びてきた手が、俺の胸倉を掴んで引き寄せる。小さくて儚い、女の手だ。
「……臨美」
「ん?何?」
「……何でも」
 臨美が俺の体を求めるのがどういうときか、俺は知っている。それは、平和島静雄に傷付けられた日だ。
 意地を張ろうと何をしようと結局平和島静雄に惹かれている臨美は、彼の心無いことばに傷付くと、こうして俺を求めてくる。
 嗚呼、なんて悪癖。
 けれど、狡いのは結局俺も同じで。
「いいよ、しよう」
 何度も身体を重ねているうちに臨美が俺のものにならないか、そんな儚い期待を抱きながら、今夜も俺は、弱い臨美を抱くのだ。

 



静←臨←波が好きでして。性転換大好きでして。
お題はイーハトーヴ( http://nanos.jp/xkrgx/) 様からお借りしました。

2015/04/06(Mon) 20:26 

◆角砂糖がほどけるまで(静雄×臨也) 



「何拗ねてんのさ、シズちゃん」
 俺は頬杖をついてコーヒーをかき混ぜながら、向かいに座ってつんとそっぽを向いたシズちゃんに問いかける。シズちゃんは応えない。応えないまま、無言でコーヒーに角砂糖を投入し続けている。
「て言うかそんなに砂糖入れたらコーヒーの味しないよ」
 指摘すると、角砂糖を摘まんで入れる指が止まった。指の長い、マメだらけの手。無骨ながら綺麗なそれは、シズちゃんの中で珍しく俺が嫌いじゃない部分だ。
「もう一度訊くよ。何拗ねてるのさ?」
「……別に」
「別にじゃない、分かりやすいんだよ、シズちゃんは単純だから」
「うるせぇ」
「はいはい」
 丁度良い甘さのコーヒーを口に運びながら、俺はシズちゃんの横顔を眺める。
 その大量に投入した角砂糖がほどけるまでの時間、待ってあげよう。それでも言わなかったら、実力で聞き出すまでだ。
 俺は待つだけの乙女じゃないから。



 
久々に。
お題はイーハトーヴ( http://nanos.jp/xkrgx/)様から。

2015/04/05(Sun) 17:04 

◆太陽になりたかった(織姫→一護→ルキア) 



 あなたを照らす太陽になりたかった。
「悪い、俺……ルキアのことが好きなんだ」
 あなたは申し訳なさそうに私から目を逸らして、けれども、照れたように頬を染めた。
「井上の気持ちは嬉しいけど、悪ぃ」
 あなたの太陽になりたかった。あなたを暖かくして、幸せにする太陽に。
 でも、なれなかった。
 あなたが選んだのは、偽物の太陽の私じゃなくて、本物の美しい雪だった。
 馬鹿みたい。
 あなたに好かれようと必死でやってきた自分が、馬鹿みたいだ。
「……井上?」
 反応のない私に、あなたが首を傾げる。耐えられなくなった私は、あなたに背を向けて走り出した。
「井上!?」
 追って来ないで、追って来ないで。
 太陽になれなかった自分が、余計に惨めなだけだから。






衝動的に書いた織→一→ルキ。
お題は夜と魚( http://nanos.jp/crummy/page/14/)さんから 。

2015/03/24(Tue) 16:04 

◆雨のち晴れ・上(静雄×臨也←帝) 



※天野こずえ『AQUA』パロディですが未読の方でも楽しめます。テラフォーミングされてヴェネツィアみたいになった火星でゴンドラを運転する水先案内人のお話です。



 高潮の日だった。
 ネオ・ヴェネツィアの気象現象らしい、と教えてくれたのは静雄さん。僕の上司。その彼は、今はカンパニーの幹部会議に出ていていない。
 そして僕は、大雨の中外にいた。唯我独尊丸のキャットフードが駄目になってしまったので、新しい物を買いに来たのだ。
 キャットフードを買って店を出ると、雨はますますひどくなっていた。唯我独尊丸を抱えて、やむなく走り出す。
 と、
「帝人くん?」
 聞き慣れた声がしたで顔を上げると、窓から臨也さんが顔を出していた。
「こんな雨の中、何してるんだい?」
「いえ、ちょっと」
「唯我独尊丸のキャットフードでも買いに出ていたのかな?」
「……よく分かりましたね」
「俺が知らないことなんてこのネオ・ヴェネツィアにはないよ」
 ふふ、と口角を釣り上げて妖しく笑うと、そうだ、と臨也さんは僕に手招きした。
「うちで雨宿りしていきなよ。風邪引くわけにはいかないだろ?」






天野こずえ『AQUA』パロディでした。
クソ久々にデュラを書いたので偽物です。
女体化のつもりだったのに気付いたら男体のままだったという(笑)

2015/03/21(Sat) 21:02 

◆幸せな日常(アレルヤとニール) 



「ただいま」
 帰ってきたアレルヤに、料理を終えてフライパンを洗っていたオレは、振り返って応じた。
「おかえり」
「いい匂いだなあ。今日のご飯は?」
「大根葉の炒めものとポテトサラダと鰹の角煮」
「おいしそう」
 ふふふ、と笑いながら、アレルヤが脱いだコートをハンガーに掛ける。オレは食器洗いをいったん中断して、できた料理を皿に盛り付けた。
「ほら、飯だぞ、アレルヤ」
 ソファに腰掛けてぼんやりしていたアレルヤを呼ぶと、「あ、うん」とアはレルヤは慌てて立ち上がる。
「手伝うよ、運ぶの」
 夕食を食べながらオレたちは、いつものように今日あったことを話すのだろう。オレは美容院の、アレルヤは法律相談所の仕事の話を。
 ああ、なんて、幸せな日常!





ひっさびさの00。支部漁ってて書きたくなった。
一応、よしながふみの「きのう何食べた?」のパロディです。

2015/03/19(Thu) 20:43 

◆気ぃ付けや(平子+雛森) 



「桃」
「はいっ」
 上司に呼ばれて振り返った雛森の頬に、ぷにっと当の上司の骨張った長い指が突き刺さった。
「引っかかったん五回目や」
 にやっと大きな口の口角を釣り上げて、平子は笑ってみせる。雛森は思わず赤くなった。
「からかわないでください、平子隊長!」
 声を荒げて彼女が言うと、平子ははーっと大袈裟にため息をつく。
「あんな、桃。桃が無防備過ぎんねんで」
「え?」
「悪い男に引っかからんように気ぃ付けや」
 俺みたいなな、と言われて、雛森の頬が赤く染まる。しかし、すぐにからかわれたのだと気付いて、「平子隊長っ」と歩き出した平子の背を追った。





リハビリその一。

2015/03/09(Mon) 13:42 

◆首をしめる(慶→小→アキ) 



「艦長」
 首をしめる。
 首をしめる。
 首をしめる。
 あなたの太い、木の幹のような、少し筋の浮き出た、首をしめる。
「けい、じ……」
 オレに首をしめられたあなたが、苦しそうな顔で、オレを見る。それにオレはとても興奮する。欲情する。
「好きです、艦長」
 首にまわした手に力を込めたまま身を屈めて、あなたの肉厚な唇に噛みつく。どこに力が残っているのか、あなたは差し込んだオレの舌に歯を立ててくる。でも力はこもっていない。甘噛みのようだ。
「やめろ、やめろ、慶次……」
 あなたの太い腕が伸びてきて、オレの腕を掴む。いや、すがりつく。ああ、どんなに強いあなたでも、信頼している人間に突然爪を立てられては敵わない。あなたは、身内に甘い。
「艦長……」
 どうしてあなたはオレを受け入れてくれないのだろう。あなたの中には誰かがいる。誰かが居座っている。
 ああ、
 貴方を殺せば、その誰かも死んでくれるのだろうか。





慶次みたいなまっすぐな子に首絞めてほしいという欲望丸出しな話。

2014/11/17(Mon) 09:56 

◆薬指を予約したいのは僕です(慶小) 



 手と手を絡ませると、小町さんが片方の眉を上げた。
「どうかしたか、慶次」
「いえ、」
 小町さんの手を指でしっかり固定して、オレの方へ引き寄せる。薬指の付け根の骨のでっぱりに口付けると、小町さんの顔がますます怪訝な顔になった。
「けい、」
「小町さん」
 彼の言葉を遮り、その精悍な顔をまっすぐに見つめて、オレは言った。
「指輪、要りませんか」
「指輪?」
「はい」
「こんなおっさんが、指輪なんかしても……」
「あ、通じてないスか?」
「え?」
 オレの言葉に、目を白黒させる小町さん。オレの意図は、どうやら全く通じていないらしい。そんなところも愛しいなあ、と思いながら、咳払いして、オレは小町さんを抱き寄せた。
「薬指に、指輪、要りませんか」
 抱き締めて囁くと、今度は意味が通じたのか、一拍於いて、小町さんの顔が真っ赤に染まる。
「オイ慶次、それって……」
「小町さんが考えてるとおりの意味です」
「……俺、男だぞ。しかもおっさんだ

「そんなの今更じゃないですか」
「お前なら、格好良いし、世界チャンピオンだし、もっと他の人間だって、」
「オレは貴方がいいんです」

「ーー小吉さん」

 ギュッと抱き締めて、耳元で囁く。
「今すぐが駄目なら、せめて予約させてください」
「予約って……」
「小町さんの薬指は、オレのものだって」
 ね、と言って体を離し、彼の顔を見据える。

 返事は、真っ赤になった彼の顔が物語っていた。





しろくまお題bot(@srkm_title)様よりお題。
死ネタを書いてしまったので、今度は生存ネタを。

2014/11/10(Mon) 19:29 

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