小ネタ・呟き

小ネタ置き場。試験期間の主な更新場所。
ここの更新は履歴には反映されません。
ジャンルもごっちゃ、同性愛者もヘテロも女体化もパラレルもあり。
◆必要とされる何かを探していた(夢キャス/ジェネ子) 



 ずっとひとりぼっちだった。
 学校の勉強は簡単でつまらなくて、そして級友たちは次々と仲良くなっていくのに私はひとりぼっちのままで、入部した文芸部はみんな独立独歩でやっぱり友だちはできなくて、ひとりぼっち。
 そのうちに些細なことから精神的に病んで、どんどん悪化して、高校は何とか出られたけど進学はできなくて、病気の重みで家から出られずに、ただひたすら本を書いて思いの丈を文章にぶつけていた。
 きっかけは何だっただろうか。
 そう、確か、小説の新人賞の最終選考にまで残ったのだ。結局受賞は逃したけど、世間からある程度の評価をもらえて私は満足していて、そしたらある日、真っ黒くて綺麗な男の人が家に来た。
「俺たちのために、脚本を書かないか」
 それは、私の人生に差した一筋の光だった。


「ジェネ子、どうした?」
 藍沢さんの声で、現実に引き戻された。
「えっと、ホンのことを考えていたら、何だか想像がぐちゃってなって……」
 要領を得ない私の言葉に、そうか、とただ藍沢さんは頷く。藍沢さんのこの適切な距離感は心地良い。
 私の家に来た人は、名前を黒木さんと言った。そして私は、劇団ジェネシスの座付き脚本家に、気付いたら、なっていた。
 ジェネシスのメンバーのプロフィールを聞いて、私は真っ青になってしまった。そんななかに、どうして私が。あうあう言うことしかできない私を射抜いたのは、黒木さんの真っ直ぐな瞳だった。
「だからこそ、君の新鮮な力が欲しい」
 気付いたら、ぽろぽろと泣いていた。
 必要とされるのは、とてもとても、久しぶりのことだった。いや、もしかしたら、初めてのことだったかもしれない。
 突然泣き出した私を慰めてくれたのは、白椋くんだった。彼の純粋な言葉は、私の心に染み入った。
 ここなら、頑張れるかもしれない。私を必要としてくれる、ここなら。そう思って、私は、脚本家になることを承諾していた。
 それから、何ヶ月かが、過ぎた。私が劇団のみんなに助けてもらいながら書き上げた脚本は、思いのほか当たって、結構な客入りになった。朱堂さんが、号泣する私の頭をぐしゃっとかき混ぜまて、見直した、と短く言った。
 ここは、私を必要としてくれる。少なくとも、頑張っているうちは、私の居場所がある。
 私は、その日から、ジェネシスの一員になった。

「えっと、ジェネシスの舞台って、現代ものが多いですよね? 思い切って、もっとほかの時代にしてみたらどうかな、と思うんですけど」
「……それも手だな」
「ワクワクしますね!」
 白椋くんが、笑顔をくれる。
 私は、にっこりと、ここでしか作れない笑顔を、顔に浮かべた。

 






ジェネ子の過去クッソ捏造しました!楽しかったです!
あっ、そもそもジェネ子の存在が捏造でしたね!?
ジェネ子シリーズはぶつ切り連作短編でやっていこうと思います。時々書きますのでよろしくお願いします。

2017/08/10(木) 08:47 

◆狂い咲く花々をあなたに一度2(カイ仁) 

2.
 昴が仮眠室に仁を運んでから、メインキャストたちは落ち着くこともできず、仁の横たわるベッドを取り囲んでいた。ただ2人、伊織は「見ていて変わるものではないだろう」と言いながら稽古場に戻ったが、その顔色は自分が倒れたかのごとく真っ青であった。そしてもう一人のカイトはと言うと、極力感情を殺した声で「馬鹿馬鹿しい。オッサンだって年だし、体調崩すことくらいあるだろ」と言いながら、作曲をしにピアノのある部屋へと消えていった。
 一時間ほど経過した頃だろうか。
 ゆっくりと、仁が目蓋を痙攣させて、そして目を覚ました。
「仁兄!」
「ジンちゃん!」
 響也と陽向が、身を起こした彼の身体に、揃って飛びつく。それを、何が起きたのか分からない、と言いたげにぼんやり見ていた仁は、やがて状況を把握すると、ああ、と苦笑した。
「すまないねみんな、心配かけて」
「もう、ジンちゃんったら、すごく心配したんだから!」
「もう大丈夫なの、仁さん」
 ぎゅむぎゅむと仁を抱き締める陽向とは対照的に、冷静な声で蒼星が問いかける。すると、仁は申し訳なさそうな顔をして、答えた。
「まだ、もう少し、かかるかな。いや、もしかしたら、一生かもしれない」
「……何か、病気を?」
「病気と言えば、病気なんだけど」
 努めて感情を押し殺した、しかし震える声で、仁は続けた。
「俺はどうやら、花吐き病に罹ってしまったみたいなんだ」
「花吐き病って……あの花吐き病ですか?」
 おとなしく聴いていたまどかの思わずといった問いに、こくり、と仁は頷いた。
「花吐き病?」
 怪訝な顔をした昴に、まどかがスラスラと説明する。
「 嘔吐中枢花被性疾患。通称花吐き病。片思いの人が起こす病気で、文字通り花を吐いてしまう病気だよ」
「えー!? 仁さんが片思い!!??」
「昴、うるさいよ」
「仁兄、相手はカンパニーの人間なのか?」
 仁がバイで、今までも男性と付き合っていたことがあるという事実を、響也と蒼星は知っている。念のために、と尋ねると、返ってきたのは沈黙だった。
「……そうなんだな、仁兄」
「ああ。すまない、迷惑をかけて」
 ゴホゴホと咳き込んだ仁の唇から、胃液とともにダリアの花びらが溢れ出る。花吐き病であることは、間違いがない。
「とりあえず、隠しきれないと思うので、カンパニーのメインキャストの間では共通の知識にしておきますね」
「ねえ、おねーさん」
「ん?」
「花吐き病って、両思いになったら治るんだよね?」
「うん、確か……」
「じゃあ、ボクたちで両思いになるのを応援できないかな」
 こんなジンちゃん見てられないよ、と陽向は仁の青ざめた頬を撫でた。触れた皮膚は、氷のように冷たい。
「そのためには、相手の名前を仁さんからはなしてもらう必要がありますけど……」
「うーん、それは、嫌かな」
まどかの言葉を、仁はばっさりと切り捨てた。
「病気を治すためにお情けで付き合ってもらうなんて、そんなの俺には耐えられない」
 仁にそう言われて、それもそうだろう、と納得する。
 とりあえずその場は、翌日の稽古を休みにして、響也とまどかかが、仁を車で送ることとなった。
 仁の、彼らしからぬやつれたかおが、皆の脳裏から消えることはなかった。

[追記] (2017/06/16(金) 10:20)

2017/06/16(金) 10:20 

◆狂い咲く花々をあなたに一度1(カイ仁) 

1.
 それは、いつものように、レッスンルームでダンスの稽古をしていたときのことだった。
 手本に華麗なターンをして見せていた仁の軸足が、ふらりとよろけると、ばたりと床に倒れ込んだ。
「仁さん!?」
「ジンちゃんどうしたの、大丈夫!?」
 一般のキャストたちに休憩を与え、メインキャストたちだけで駆け寄るが、仁からの返答はない。浅い呼吸音が聞こえるだけだ。見れば、彼の顔は真っ青で、気を失いながらもなお、その顔は苦しそうであった。
 彼らはまだ、そのときは知らなかった。それが、全ての始まりだとは。

[追記] (2017/06/16(金) 10:19)

2017/06/16(金) 10:19 

◆男子終末旅行(ヒナ仁) 



 ガタガタ、ガタガタ。
 廃墟となった街を、一台の車が走っている。
「ヒナ、運転変わろうか?」
「だーめ。何かあったときの対処のために、ジンちゃんは後ろに座ってて」
 運転席にいるのは、まだ少年と表現するのが丁度よいくらいの若い男。彼はハンドルを握って、手にした地図と道を見比べている。
「何か……起きるかな?」
「念には念を入れて、だよ」
「難しいことばを覚えたね、ヒナ」
「もーっ! 子ども扱いしないでよ、ジンちゃん」
 後部座席に乗っているのは、運転席の少年よりも10歳は上と思われる男。少年と同じコートとヘルメットに身を包み、ゴツいライフルを肩に担いでいる。
 廃墟には、2人以外には誰もいない。ガタゴト、ガタゴト。2人の乗った車が走る音だけが、その場に響いている。
 2人は上へと向かっていた。特にさしたる理由はない。あえて言えば、2人を街から逃がしてくれた「真先生」が、上へ向かえと言ったからだろうか。それだけを理由に、2人はめったに自分たち以外の人間に会わない廃墟を、進んでいる。
 不意に、「あっ」と後部座席の男が声を上げた。
「あれは……水を通す管、かな?」
 2人の行く手には、一本の太い水道管が立ちはだかっていた。しかし、その道を通らなくては上へは行けない。しばしの逡巡の後、陽向は車を止めて振り向いた。
「ジンちゃん」
「ん」
 阿吽の呼吸で彼の呼びかけに応えて、仁は担いでいたライフルを構えた。申し訳程度についているスコープを覗き込んで、管に的を合わせて引き金を引く。
 バーン
 2人以外に誰もいない空間に、銃声が響き渡った。
「当たった?」
「多分。もう一発撃とうか?」
「ううん。だって、ほら」
 陽向が指差した先では、水道管が壊れて、ダバダバと水が流れ落ちていた。「あ」と陽向が小さく声を上げる。
「魚だ」
「捕まえてくるよ。レーションばっかりでも飽きるし、焼いて今日の食事にしよう」
「賛成。ついでに洗濯もしちゃおうか」
 2人は車を止めて、それぞれの座席から降りると、なすべきことをなし始めた。仁は魚の捕獲、陽向は洗濯を。どこから来ている水なのかは分からないが、澄んだ水は綺麗なもののようで、2人は少し安心した。
「そろそろ飲み水も補給したかったし、丁度良かったね」
「そうだね」



 数時間後。
 そこらにあったガソリンのタンクから少量のガソリンを拝借して点火した2人は、一枚きりの服を洗って干し、一枚だけの毛布に2人でくるまりながら、火であぶった魚を食べていた。
「美味しいね、魚。ボク、実物を見るまで、魚なんて知らなかったよ」
「俺は一度だけ事典で見たことがあるよ」
「ジンちゃんは、街にいた頃から本が好きだったよね」
 そう言葉を交わして、2人はしばし、生まれ故郷の街に思いを馳せた。もうあそこに戻ることはないのだろう。何しろ、2人は上へと向かっているのだから。
「魚、何匹か捕まえておこうか」
「腐るよ」
「腐る?」
「すごく臭くなって、食べられなくなる」
「それは嫌だなあ」
 2人きりの旅は、明日も明後日も続くのであろう。いつか、いちばん上にたどり着く、その日まで。
「いちばん上には何があるんだろうねえ」
「さあ」
 このまま火にあたりながら眠って、起きたら、2人はまた廃墟と化した街を進んでいくのだろう。いつまでかかるか、どこに辿りつくのかは分からない。でも、もう少しだけ、2人きりでいたかった。

[追記] (2017/06/13(火) 04:05)

2017/06/13(火) 04:05 

◆君と僕と焼肉(ニルハム) 



※ヤマシタトモコ『くうねるところにたべるとこ』所収「dish1」パロ





 肉を鉄板の上に置いた瞬間、ジュッと音がした瞬間、グラハムが口を開いた。
「この肉が鉄板にくっつく瞬間」
「……」
「……」
「……の瞬間がどうした。興奮すんのか?」
「するのだよ!!性的に」
「うるせえな!!」
 焼肉屋という場をわきまえぬグラハムの発言に、思わず怒鳴る。隣の席の客がこちらを気にしているが、んなもん無視だ無視。
「……」
「……」
「ーーたまには焼鳥行きてぇよ」
「君としたいのだよ……焼肉」
「やめろその言い回し、いただきます!」
「んむっ」
 オレのことばに眉を寄せた後、グラハムも大人しく焼肉に箸を伸ばす。何だかんだで、こいつは食欲にも我慢弱い。
「知ってるかい? 肉に含まれるコレステリンと性欲の関係を」
「その話はあんたと焼肉来るたび聞いてる」
「……うん」
「……米食いたいな」
「焼肉に来て肉以外の話はやめてくれないか? すみません、網を変えてください」
「塩系いくか」
「いく」
「あんたこそ焼肉に来てウーロン茶飲んでんじゃねぇっつの。ビール行け」
 顎をしゃくってグラハムのジョッキを示すと、グラハムは目を細めて、呟いた。
「…あいにくとーーアセトアルデヒドが足りていない…」
 それから、上目遣いにこちらを見て、掠れた色気たっぷりの声で続ける。
「……キスしたい、な、君と」
「臭いぞ? オレ」 
「……私もだぞ?」
「……テールスープ」
「了解した」


 とかいって今日も、「満腹で動けない」と言って何もしてこないの知っている、
 あんたと三十回目の焼肉。






読んだ瞬間にニルハムでパロりたくなった漫画(笑)
ヤマシタトモコ超オススメですよ。今回は口調だけ変えて使わせてもらいました。
なお、dish6以降は攻め受けがひっくり返ります。ちゃんと攻めがニールになります。
お粗末様でした!

2015/10/24(土) 23:54 

◆のどの痛みをどうやってごまかそうか(ニール) 



※病み注意



 のどが痛むほど大声で泣き喚いて、ナイフで肩を切りつけて、頭を壁に打ち付ける。
 気付いたときにはボロボロだった。
 駄目だなあ、と自嘲気味に笑う。オレは、オレは。まだあのときから抜け出せていない。
 部屋は完全防備、他の部屋には聞こえていないはず。それなのにコンコンと部屋のドアをノックする音がする。ノックをする、してすぐに開けたりしない、つまり相手はひとりしかいない。
 傷だらけの肩を隠し、ナイフに付着した血を拭ったオレは、立ち上がって何でもないかのようにドアを開けた。
「悪ぃなアレルヤ、寝てた」
 さて、この痛むのどをどうやってごまかそう、などと思案しながら。





ずっと、自分が病むまではニールは強い人だと思っていたけれど、年が近付くにつれてどんどん弱さも見えてきて、病んでるニールとか有りだよなあ
、と思って書いてしまったお話。
お題はイーハトーヴ様( http://nanos.jp/xkrgx/ )よりお借りしました。

2015/10/15(木) 22:12 

◆鳥になりたい(ニル←フェル) 




 ねぇロックオン、今私がもしも 鳥 になれたら、今すぐ飛び立って、あなたのいる天国(もしかしたら、地獄?)まで駆けつけたいよ。
 ロックオン。
 ねぇ、あなたがいなくなってから何年経ったかな。私は恋をしたの。刹那に。きっとあなたならお見通しだよね。私が刹那を好きになることに、きっとあなただけは気付いていた。
 ねぇロックオン、刹那はもうあなたと同い年だよ。もしここにあなたがいたら、あの時のままのあなたがいたら、刹那を見てどう言うのかな。笑うのかな。
 ねぇ、ロックオン、
 初恋は叶わないなんて言うけれど、きっとあれは恋じゃなかった。あれは淡い淡い憧れだったんだ。それが恋になる前に、あなたはいなくなってしまった。遠くへ行ってしまった。あなたの家族の元へ、
 ねぇロックオン、そっちはどうですか。楽しいですか。家族とは再会できましたか。
 あなたが、私たちがいないことを少しでも寂しがってくれていたら、それでいいです。それだけで幸せです。
 ねぇ、ロックオン、
 
 好きでした。ずっとずっと。今もきっと。
 ねぇ、ロックオン、










突然浮かんだ話。フェルト視点。00リハビリ中。

2015/10/15(木) 20:20 

◆指切り(ろちドタ) 



「旦那、指切りしよう」
 俺のことばに、旦那はハァ?と言いたげな顔をした。
「何だよ、いきなり」
「いいからいいから」
 手を掴んで引き寄せて、無理矢理に小指同士を絡める。旦那は顔に疑問を浮かべながらも、俺にされるがままだった。
「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ーます、指切った」
 十何年ぶりかの唱え事を口にして、最後に絡めた旦那の指に軽く口付ける。その瞬間、旦那の顔に赤みが差して、手はすぐに離れてしまった。
「千景、お前なっ」
「いいじゃん、家だし。まあ、俺は家でもどこでも旦那とイチャイチャしてたいけどさ」
 しばらく黙っていた旦那は、「で、」と口を開いた。
「何の約束だったんだよ」
「旦那は知らなくていいよ」
「何だよ、それ」
「俺が一方的に約束したたけだから」
 そう、これは俺の一方的な誓い。
 ずっと旦那の傍にいて、守り守られしていくっていう誓いだ。
 この恋は本物、真の恋。旦那は俺の特別。俺はそれを確信している。
 だから、誓うんだ。決して心変わりはしない、と。旦那から離れない、と。
 口にしたら、旦那は「やめとけ」とか「そのうち心変わりするさ」とか、そういうことを言うだろう。だから、敢えて言わなかった。
 本当なら、旦那のためなら、俺は髪を切って渡すのも爪を剥がすのも辞さない。それどころか、本当に指を切って渡すことすらするだろう。
 でも、旦那はそれを嫌がるだろう。だからしないけど。
 好きだよ、旦那。
 未来永劫、離さない。






ボカロの「指切り」を浮かべながら書いた話。
次はドタチン視点で書きたい。

2015/05/12(火) 17:43 

◆くるくる、ふたりで溶けていこう(ろちドタ) 



 好きだよ、って囁くと、旦那は「お前な」って顔をする。いつまで経っても俺のことばを信じてくれない。旦那は強情だ。
 でも、これは俺の初恋なんだ。ハニーたちに抱くのとは違う、あんなふわふわしたもんじゃない、もっと熱くてドロドロとした、そんな想い。自覚したとき、思ったんだ。ああ、これは愛だ、って。
「旦那、キスしよう」
「……勝手にしろ」
 繰り返される俺の好き好き攻撃に根負けして受け入れてくれる旦那が、愛しい。大好きだ。
「おう、勝手にする」
 横抱きにしていた体に正面から向き合って、肩を抱き、口付ける。身じろぎする旦那が愛らしい。なんて言ったら、怒るんだろうけど。
 ああ、このまま溶けてしまいたい。くるくる、くるくる愛の渦を描いて、恋の中に溶けてしまいたい。
 そしたら俺と旦那は、混ざり合って、本当に一つになれる。出来るのはそう、愛の結晶だ。
 なーんてな!冗談だよ、
 俺も旦那もいなくならない。ずっと、ここで、こうして寄り添っている。でも、溶けてしまいたいくらいに、二人でいたいのは、確かなんだ。







ろちドタ少ないよ!書かなきゃ!と思ってお題先行型で書いた作品。
お題はイーハトーヴ様( http://nanos.jp/xkrgx/) よりお借りしました。

2015/05/11(月) 04:29 

◆真紅の瞳は問いかける(静臨) 



「俺でいいの、シズちゃん」
 静雄の首筋にナイフを押し当てて、臨也は問うた。
「俺なんかやめときなよ。君にはヴァローナもいるし茜ちゃんもいる。俺よりももっと良い選択肢がいくらでもあるはずだ。俺なんかを選んだら君は不幸になる。それでもいいのかい?」
 彼の問いに、臨也の頬に片手を添わした静雄は、サングラスの下の目を細めて答えた。
「当たり前だろ」
 そして、臨也が持っていたナイフを払いのけ、断言する。
「誰が気の迷いでお前なんか選ぶかよ」
「だよねえ」
「離れてる間に分かった。……俺は、お前がいいんだ」
 そのまま臨也の手を掴んだ静雄は、グイッと臨也の体を引き寄せる。そして、彼がそこにいることを確かめるように、ぎゅっと臨也を抱き締めた。
「俺にはお前しかいねぇんだよ、臨也」
「ハハハ、」
 彼の言葉に、臨也の口から乾いた笑いがこぼれ落ちる。
「君は本当に、悪食だなあ」
「今更だろ」
「……そうだね」
 静雄は臨也の後頭部に手を当てて、くしゃっと彼の髪をかき混ぜた。
「んな顔すんなって」
「どんな顔もしてないよ」
「嘘つけ」
「見てないクセになんで断言できるのさ」
「何となくだ」
「君らしいなあ」
 ハハハ、と尚も笑って、それから、臨也は真面目な顔になって言った。
「大嫌いだよ、シズちゃん。世界の誰よりも」
「上等だ。お前の嫌いは、つまり好きってことだろ?」
「ポジティブだねえ」
 静雄の肩口に顔を押しつけていた臨也が、顔を上げる。
 真紅の瞳が問いかける。
 そして、2人は、口付け合った。






唐突に書いた。何かの最終回っぽいお話。
お題はイーハトーヴ様( http://nanos.jp/xkrgx/) よりお借りしました。

2015/05/08(金) 19:40 

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