00部屋参

□鎖骨
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 ロックオンは綺麗だと僕は思う。顔立ちも勿論整っているけど、指、項、顎のライン、鎖骨。そんな細かいパーツの形が美しい。人工的ではない滑らかなカーブや造りに僕が憧れることには、前々から気付いてはいたけど。
 髪を上げたロックオンの顔を見ると、ロックオンが微笑む。柔らかい表情と、緩やかに吊り上がった唇。知らず知らずのうちに見惚れていた僕は、慌てて目を逸らす。だけど、しっかり気付いていた彼は、僕との距離を一歩分縮めた。
 普通の恋人というにはいささか開いている、僕と彼との距離。手の平が重なる程度だけど、僕たちには丁度良い。



「どうした?アレルヤ」
「いえ、なんでも」
「なんだよ」



 子供のように紡がれることば。多分、わざとだろう。僕が答えずにいると、彼は打って変わって兄のような表情をし、僕の額を爪で弾く。



「言いたいことがあるなら言えよ」



 そう言った表情が生命観に溢れていて、あまりにも、美しく見えたから。僕はその手をぎゅっと握って、その鎖骨へとくちづけた。



「ただ、ロックオンが綺麗だったから」
「―――からかうなよ」



 白い顔が赤く染まる。僕はその背に腕をまわし、白い肌に顔を埋めるようにして、告げた。



「好きですよ、ロックオン」



 あなたのすべて、そのパーツのひとつひとつさえも。

 

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