00部屋参

□何故君は、
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 クジョウの家に着いて合い鍵でドアを開けると、突き当たりのリビングには酒瓶が転がしいるだけで、クジョウの姿はなかった。
 嫌な予感がした。
 すぐさま早足で寝室へ向かい、ノックもせずにドアを開ける。
 予感は的中していた。
 ベッドの上にぐったりと、クジョウの豊満な身体が横たわっている。枕元には複数の精神安定剤のシートと睡眠薬のシート、そして酒瓶。
 彼女に駆け寄った僕は、急いで彼女の胸に耳を当てた。鼓動の音。どうやら寝ているだけらしい、と分かって安堵する。
 何度目だろう。彼女がこうして自殺を図るのは。
 四年前、突然現れて雨の中僕の家の前に立っていた彼女は、ひどい顔をしていた。それから、彼女の酒浸り、薬頼りの日々が始まった。しばらく会えない間に何があったのか。当時フラッグの改造に必死で彼女に会う暇もなかった僕は、彼女の力になれなかったことを悔やんだ。そして、今度こそ彼女の力になると決めた。
 それなのに、彼女はそれを許さなかった。
 何を訊いても、何があったのか、彼女は一切話さなかった。ただ、時折夜にベランダに出て、宇宙を見ながらため息をつく彼女の身体は、消えてしまいそうなほどに脆く見えた。
(……クジョウ)
 何故君は僕を頼ってはくれないのだろう。そんなに僕は頼りないのだろうか。
 それとも。
 それとも、君の中には、まだ彼が、いるのだろうか。
 今の彼女の様子は、彼を失ったときと同じかそれ以上にひどかった。
 何があったのか。
 何故僕に何も話してはくれないのか。
 何も君は教えてくれない。雨の中真っ青な顔で立っていた君は、僕に身を任せはするものの、まるで、それは何かを忘れるためのように見えた。
「ーーーー」
 寝ていたクジョウが何かを口にし、顔を歪める。口元に耳を寄せると、かすれた彼女の声が聞こえた。
「ごめんなさい」
 一体。
 一体彼女は、何に謝っているのだろうか。
 僕に? それとも彼に? それとも、まだ見ぬ誰かに?
 クジョウ。
 何故君は、僕を、頼ってくれないのだろうか。


(僕はただ、君の力になりたいだけなのに)







病んでる話が書きたかったんです!
ビリスメ何気に初書きだったりします。ビリー……。

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