00部屋参

□掃き溜め行き切符
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 小柄だがしっかりとした体に肩を抱き寄せられて、ロックオンは本を閉じた。
「どうした、刹那?」
 本を膝の上に置いて利き手で刹那の頬をくすぐると、彼は赤銅色の目を細め、黙ってロックオンの手に自分の手を絡めてくる。
「刹那?」
 訝しんでニールが再度尋ねると、刹那は唐突に、ロックオンの体を押し倒した。まさかそんな行動に出るとは思っていなかったロックオンは、いとも簡単に倒されてしまう。
「オイコラ刹那、」
 何か怒らせるようなことでもしただろうか。疑問に思いながら、ロックオンは刹那の顔を見やる。ベッドに倒れ込んだニールの上にギシリと覆い被さった刹那は、相変わらず表情の分からない顔で、無言のまま体を倒した。唇と唇が触れ合い、すぐに離れていく。
「何だよ刹那、キスしたいなら言えよ」
「言ったら拒否するだろう」
 ハッキリと言われて、否定できずに黙り込む。その通りだ。刹那にはこちらに、堕落した大人の世界には来てほしくないと、ロックオンはいつも思っている。
「ロックオン、俺はお前が好きだ」
 呟くように言うと、刹那は再度ロックオンに口付けて、右手をロックオンのTシャツの下に滑り込ませる。ため息を吐きながらその頭を胸に抱き、ロックオンは心中で呟いた。
(大概駄目な大人だよ、オレも)


掃き溜め行き切符(それは片道切符、)







00リハビリのために毎日00企画。タイトルからすぐに刹ニルを連想したので書きました。
タイトルは相変わらずイーハトーヴ様( http://nanos.jp/xkrgx/) よりお借りしました。

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