00部屋参

□君はガーベラ
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「君はガーベラみたいだね」
 突然言い出した月島に、あたしは眉を上げて応えた。
「何よ、突然」
「それも、大輪の、ピンク色をしたとびっきり美しいガーベラだ」
「ちょっと、会話になってないんですけど」
 ソファに身を沈めて脚を組んで、隣に座った月島をねめつける。月島は薄く笑って、月島はあたしの髪に触れた。
「君は可憐な花だよ、リルカ。人を惹きつけて止まない花だ」
「また何かにかぶれたの?」
「梨木香歩を読んでいたからかもしれないな」
「あんたって本が絡むと馬鹿みたいよね」
「リルカのことでも馬鹿みたいだよ」
 そっとあたしの肩まで手を滑らせた月島が、微笑んで、あたしの体を抱き締める。
「ちょ、ちょっと!」
「本当に、君が絡むと、僕は馬鹿になってしまうんだ」
「月島!?」
「君がいなければ、もっとまともでいられたかもしれない」
 その一言に、ぞっとした。
「そのために、あたしを殺す?」
「まさか。君なしじゃ僕は生きていけない」
 抱き締めたのと反対の手で私の頬に触れて、月島は悲しげに微笑んだ。
「本当に、君はガーベラだよ」


ーーそれほどに、脆い。僕のような花盗人に手折られてしまうほどに。


 そう囁いた月島の頬を、あたしは平手で叩いた。
「バッカじゃないの!」
「リルカ……」
 驚いて身を離した月島に、あたしは言ってやった。
「あたしは好きであんたに手折られたの! そんなことも分からないの!?」
 言ってから恥ずかしくなって、あたしは真っ赤になる。驚いた顔をしていた月島は、それからくすくすと笑って、私の頬を撫でた。
「まったく、君には敵わないよ」








なんとなーく思いついたお題にぴったりきたので月島とリルカ。
ガーベラで、君は○○で、もしも君に会わなければもう少しまともだったのにで、花泥棒だから、スピッツ要素満載になりました。

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