その七
□幸せな夢
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夢を見ました。
あの綺麗な金と青のコントラストが見えました。ニコニコ、ニコニコと、懐かしい顔が笑っていました。
あの人はとても綺麗で、生気に満ちていて、眩しく見えました。
気づけば俺は泣いていました。
夢の中の彼は笑っています。あの頃と寸分違わず、巨大なレンチで俺のことを殴りつけてきます。彼は楽しそうでした。そして、痛いと文句を言う俺も、やはり楽しいと思っていました。
幸せでした。
大好きでした。
愛していました。
彼の隣りで笑っていられることが。
あの、眩しい金色の髪と、澱んだ青い目が。
「なんでだろうなあ……」
シャムは夢なんて見ない。いつでも動き続けている。たとえ一つの脳が休まっていても、意識は休まらないのだ。
なのに、夢を見た。
懐かしい夢だった。
それは個体のひとつが見たものだった。
涙が止まらない。泣いているのはその個体ひとつだけど、シャムの意識は泣いている。存在しない、シャムのたった一つの体が泣いている。
ああ、あの眩しい金髪。
俺が何より愛した人。
今日は彼の命日だった。
(いつか訪れる別れを考えて不覚にも泣きそうになりました。シャフグラ……切ないですよね。それなのに授業のノートの端っこに書いてあった話です。死ねばよい。)