その七

□僕と君、ソファに二人
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「あんたの部屋って相変わらず物が多いわね」
 開口一番そう呟いたチルッチに、ルピは「まあね」と肩を竦めて答えた。
「欲しい物がいっぱいなんだよ」
「それは分かるけど、もうちょっと片付けしなさいよ」
「片付けてよ」
「なんであたしが片付けなきゃなんないのよ。自分でやりなさいよ」
 ぶつぶつ言いながら、チルッチは腕を組む。それを見て、ルピはソファを指差した。
「座ったら?」
「いいの? あんたがそんなこと言うなんて珍しいわね」
 言って、チルッチは部屋の真ん中に置かれた巨大なソファに腰を下ろす。ルピがそのすぐ横に腰を下ろすと、チルッチは居心地悪そうに身じろぎした。
「……近くない?」
「そう?」
 くすくすと笑って、ルピはチルッチの膝に手を置く。チルッチは思わずそれを振り払おうとしたが、男であるルピの力の前にはそれは叶わなかった。
「なんなのよ」
 チルッチが睨み付けると、ルピはにっこりと微笑んだ。
「現世ではさ、付き合ってる男と女はこうやって座るんだって」
「現世の、付き合ってる男女の、話でしょ。あたしたちにはどっちも当てはまらないじゃない」
 だから離しなさいよ、と言いたげに、チルッチはルピの白い顔を見る。ルピは「鈍いなあ」と呟いた。
「僕が言いたいのは、そういう関係にならない? ってことなんだけど」
「な……なによ」
 いつになく素直なルピに、チルッチの頬が赤く染まる。その頬に口付けして、ルピはチルッチを抱き締めた。
「付き合おう、チルッチ」
 チルッチは、消え入りそうな声で答えた。
「……好きにして頂戴」
「うん」
 好きにするよ、とルピは笑った。








ルピチルって百合じゃね?とか思いながら書いた。

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