00部屋その六

□ステキな三人組
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「リルカ、一つ貰うぞ」
 銀城はそう言って、机の上に置いてあったドーナツの箱に手を伸ばした。
「駄目って言っても食べるんでしょ、あんたは」
「勿論」
 その様子を面白くなさそうに見守りながらも、リルカも駄目だとは言わない。唇を突き出して、銀城の腹の中に消えていくドーナツを見ている。
「あんたって本当勝手よね」
「まあな」
 すると、脇でゲームをしていた雪緒が、顔を上げて口を挟んだ。
「リルカって、銀城には甘いよね」
「はあ? どこがよ」
 それに対してリルカが喧嘩腰で答えると、雪緒は淡々とした口ぶりで言う。
「銀城が何しても、基本的に何も言わないじゃん。僕には言うくせに」
「銀城は言っても聞かないからよ」
「それが甘いんだよ」
「甘くないわよ。って言うかあたしの勝手でしょ。文句ある? あんたも構ってほしいわけ?」
「まさか、そんなわけないじゃん」
 互いの顔を見て、リルカは輪をかけて不機嫌そうに、雪緒はいつも通りの顔で言葉を交わす。それを見ていた銀城が、かっかっかと笑い声を上げた。
「仲良いな、お前ら」
「良くないわよ」
「良くないよ」
「ほら、息ぴったりだ」
 銀城の言葉に、何か言おうと二人が口を開きかける。だが、それを遮って、銀城は手を上げた。
「じゃ、ドーナツありがとうな、リルカ」
「あんたが勝手に食べたんでしょ!」
 噛み付くように言うリルカに、銀城は答えなかった。



「三人とも、仲が良いですな」
 ギリコの言葉に、ジャッキーは「まったくね」と肩を竦めて笑った。
「ステキな三人組だよ」







リクエスト有難う御座いました、銀城+リルカ+雪緒でした! 無理矢理全員出してしまいました^^
タイトルは某絵本からです。

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