00部屋その六

□君限定
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「玲」


 校門の前で待ち合わせしていた友人の名を、険しい顔で紫音は呼んだ。


「ん?」


 後者の中から出て来た彼の顔を、「どうかした?」などと言いながら覗き込む玲。それにため息をついた紫音は、彼の手を引いて歩き出す。


「らしくもねぇじゃん」
「………」
「怒ってる?」
「あのな、玲」


 門を離れ、いつも四人で使う自販機の前まで来たところで、紫音は立ち止まった。そして、眉を寄せて振り向くと、なに、と笑いながら首を傾げる玲の額に、デコピンを喰らわせた。
 たかがデコピン、されどデコピン。
 筋肉の付いた紫音にされると、かなりの威力を発揮する。


「痛っ!」


 喧嘩慣れした玲も、流石に思わず声を上げた。


「何すんだよ、しーちゃん」
「何すんだよじゃないだろ」


 自分でやっておきながら、弾いた箇所を優しく手の平で撫でる紫音。玲が俯くと、その顔をまっすぐに覗き込む。
 ぶつかる目と目。
 紫音の手が、玲の顔から離れていく。


「あまり、迷惑をかけるな」


 そういう彼の声には、玲を責める色は何処にもない。心の底から相手のことを心配している、慈愛に満ちた声色。


「俺だけじゃない。みんな心配しているんだ」
「五葉は絶対に心配してねぇけどな」
「玲」
「……分かってる」


 この声に、玲は弱い。……いや、玲だけじゃない。ほとんどの人間が、弱いだろう。
 あまりにまっすぐで、眩しいほどに優しい、紫音。
 一度自分に触れた彼の手に、そっと玲は触れた。


「ごめん、しーちゃん」


 そのままトン、と肩にもたれると、耳元で優しい声がする。


「俺は、分かってる」


 染められた髪の間をすり抜ける指。親が子供にするような動き。


「なんか恥ずかしーな」


 それがくすぐったくなって、玲は茶化すような声を上げた。「そうか?」と真面目な顔で訊き返すと、紫音は玲の髪から手を離す。そして、口元だけで微笑んで見せた。
 八重歯を見せて、玲も笑う。


「しーちゃん、もっと恥ずかしいキスはどうか、とか、思ってたりしねぇ?」
「……俺の家に行ってからな」
「何か最近、心が読めるようになってきた気がする。読心術?」
「困ったな、俺の心ってそんなに単純か?」
「単純てーか、あー」


 ちょいちょい、と自販機の影に紫音を招く玲。二人の体が丁度自販機に隠れると同時、玲はニッと笑って見せた。
 さっきまでよりもっと好戦的に、挑戦的に、ずっと彼らしく。


「今ここでしてほしい感じ」


 思いがけぬ言葉に、紫音は目を白黒させる。彼の困惑を振り払うように、玲は続けた。
 まるで、罠にかけるように。そして、それにしてはとびっきり甘く。


「二人の総意だと思うんだけど」


 言われて、困ったような溜息がつかれる。広い手の平が玲の頬に伸び、シャープな頬のラインを、包み込む。
 交差する視線。吐息。ピアスが揺れる音。
 一回だけ。そんな暗黙の了解のもとで、二人は唇を重ねた。







(しーちゃんがいるから、帰って来れんだぜ)






 恥ずかしいメッセージは、口移しで伝えて。


















―アトガキー
 恥ずかしいのは時亜の脳内だと思いました。やっちゃった。
 紫玲?紫玲紫?なんかよく分かんなくなってきた。
 少なくとも、私にゃ積極的に攻める紫音は書けない感じ。
 とりあえず、青林檎でキスシーンは勇気が必要すぎます。誰も書けって言ってないのにね!
 そして、紫音の手の平が好きです。手の平ってか、包み込む感じが……。多分、ハグとかも好きだと思います(笑)
 玲が甘えられるのは、紫音だけなんじゃないかと思って書きました。
 ちなみに、五葉は誰にも甘えません。甘えるのとか、嫌いだし。
 とうとう禁忌(?)を破ってしまったので、もう怖いものはありません。
 次は陸上部×五葉かなー(え) あ、でも陸上部はサイトに全く出てないですね。
 莉央様!風香様!文句があったらジャンジャン言ってください! いや、本当に!
 とりあえず、莉央に押し付ける! 要らん? そんなの知るかよ!←
 新サイト開設祝い(遅すぎるww)だと思ってくれ!

そしてバックミュージックはポップン16のサントラでした。今はクライマックス!
 

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