00その弐
□まどろみ幻想曲
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林冲は目を開けた。
「ん……」
大きく伸びをした彼は、目の前にある橙色の塊に気付いて目を細める。
同じ寝台で、戴宗が眠っていた。
「戴宗」
彼の髪を指で梳きながら、林冲はくすくすと笑う。
行為の後、二人がこうして共に眠るようになったのは、ごく最近のことだった。
戴宗も林冲も、警戒心が強い。誰かが一緒にいると眠れない――という理由で最初は終わるとすぐに部屋へと戻っていたのだが、行為が激しくなるにつれ、それも困難になった。諦めて林冲が共に寝るのを選んでも、初めは互いに眠れなかった。こうして二人とも眠れるようになったのは、本当にここ最近のことだ。
戴宗は、目を覚まさない。
それを確認して、林冲はほっと息を吐く。
一緒に寝ていても大丈夫。そう思うくらいに、戴宗は林冲を信用してくれているのだ。
「嬉しい……」
吐息が、戴宗の髪を揺らす。
起こさないように気を付けながら体勢を変えて、林冲は目を閉じた。
「おやすみさない、戴宗」
まだ、もう少し、この幸せな時が続くことを願って。
ラブラブな話を書いたことがなかったので……。