00その弐
□虚無への供物
1ページ/1ページ
ウルキオラは、セックスの意味を、知らない。
最低限の知識は持っているだろう。生物が生命をはぐくむための儀式だということぐらいは。
でも、それだけ。たったそれだけだ。
だからウルキオラには分からない。俺がウルキオラを壊したくてセックスしていることが。
触れる前は、抱けば壊れると思っていた。プライドを、ぐちゃぐちゃにできると思っていた。
でも、できなかった。
ウルキオラには何もない。だから、俺に抱かれることに対しても、何も感じない。
快感もないらしい。だから俺は、ウルキオラを自分の快感を引き出すための方法のみでだく。それ以外なんて無意味だからだ。
「ウルキオラ、」
「何だ」
空っぽの目が、俺を映す。
「ちょっとは、感じろよ」
「無理を言うな」
放たれた声は、平素と何の違いもない。痛みに呻くことすらない、空虚な、存在。
「イくぞ」
射精して、ため息をつく。
俺の精子を吸い込んでもなお、この男は、空っぽだ。
ウルキオラはとことん空っぽ。