00その弐

□愛すべき馬鹿野郎
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「アパッチ」
 そうあたしの名を呼んだジオの目が爛々と輝いているときは、その証だ。
「嫌だね。独りでやってろ」
 分かっていてそう切り返すと、「何でだよ」とジオは身を乗り出してきた。
「良いだろ、久々だし」
「あたしは嫌なんだよ」
「何でだよ」
「何ででもいいだろ」
 破面には、月経なんてもんは存在しない。孕むこともない。だから、セックスができない日は存在しない。
 そういうのじゃなくて、ただ単に、あたしの気分の問題だった。
「嫌だっつってんだろ」
 強引に伸びて来た手を振り払って、あたしはジオを睨み付ける。
「あたしは都合の良い女じゃねぇんだよ」
「知ってるっつーの。俺だって、お前だからしたいんだよ」
「それでも嫌だ」
 突っぱねて、ジオの顔色の窺う。紅潮した頬、欲情している証。まるで、セックスを覚えたての餓鬼みたいだ。似たようなものだけど。
「今度にしろ、餓鬼」
 べーっと舌を出して、言ってやる。
 すると、ジオの牙がそれに噛み付いた。
「じゃあ、その気にしてやるよ」
「ふざけんな!」
 抵抗するけど、男と女じゃ力の差があり過ぎる。
 あたしの服の襟に手をかけたジオは、楽しそうに笑った。
「アパッチ、好きだ」
 仕方がない。あたしもジオの首を引き寄せて、思いっきり噛み付いてやった。
「あたしもだよ、この馬鹿野郎」







捏造カップリング!

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