00その弐

□ただ、唇を噛んだ
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 どうしてこの男は自分を抱くのだろう。律動に合わせて体を揺らしながら、チルッチは考える。
「何考えとるん?」
「べっつに、何でもいいでしょ」
「可愛くない口やなあ。塞いでまおか」
 唇を割って侵入してきた舌は、まるで蛇のようだ。チルッチはそれを拒めない。だって、彼女は十刃落ちなのだから。
 この行為は半ば強姦だ。同時に、和姦でもある。チルッチは市丸に逆らえない。それを知っていて、市丸はこの関係を持ちかけて来たのだから。
「アンタ、」
「何?」
「……何でも、ないわ」
「言うてみ」
「嫌よ」
「生意気」
「うっさい」
 この男は、あたしの胸がお気に入りだ。谷間に顔を埋めて、れろりと長い舌を這わせる。
 乳房に口付けていた銀髪を乱暴に引っ張って、あたしは耳元で囁いた。
「あたしは高いんだから、気持ち良くしてよ」
「我がままなお嬢さんやなあ」
 苦笑しながら、市丸が律動を再開する。
 それに身を任せ、チルッチは唇を噛んだ。なるべく、声が出ないように。


(アンタが誰を思ってあたしを抱いてるかなんて、あたしには、関係ないんだわ)










ギン→←乱が前提のギン←チル。

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