00その弐

□lovely boy !
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「グラハムちゃん?」
 ラッドがグラハムの部屋に足を踏み入れると、彼はベッドで眠りこけていた。
 金がないからか、あまり御洒落は感じない室内。本人の性格が良く出ているのだろう、床には工具や洋服が乱雑に散らかっている。
 その部屋の端のベッドの上で、グラハムは眠っていた。少し汚れた枕を抱き締めて。
「……寝てんのかよ」
 彼と一緒に街へ繰り出そうと思っていたラッドは、少し期待外れで肩を落とす。しかし、喋っていないグラハムという珍しいものを見れるから良いかと思いなおし、ベッドに横たわる弟分へ視線を落とした。
「よく寝てんなァ」
 眠るグラハムの姿は、あどけない。普段から子供のように無邪気なグラハムだが、眠っている時はまた一段と幼く見える。枕を抱き締めたりしているから余計だ。
 こんな姿を見せられれば、舎弟は誰も彼を起こすことができないだろう。無意識のうちに微笑んだラッドは、グラハムの長い前髪をかきあげた。
「ん……」
 くすぐったげに身じろぎする彼を穏やかな視線で見つめながら、そっと身を屈める。
「ま、今日は寝てろや」
 額に触れた唇はチュッと音を立てて離れ、無骨な掌がそっと髪を下ろす。
「じゃあな」
 彼にしては珍しい優しい視線でもう一度グラハムを見下ろしたラッドは、グラハムを起こすことなく、そっと彼の家から出て行った。



「……兄貴」
 ラッドの気配が消えた後、グラハムは大きな目を開けて天井を見上げる。
 唇が触れた額が熱い。
 それを意識したグラハムは、あーとかうーとか唸った後、そっと額に片手を伸ばし、戸惑うように前髪に触れた。
「やべえ……寝れるわけ、ねえ」
 そう呟いた彼は、火照った頬を枕に押し付け、その場でゴロンと寝返りを打つ。
 それから、ギュッと目を瞑ると、微かな声で言った。
「幸せだ……」







ラドグラでした。意外と人気があるみたいですね。
受けグラハムが乙女です。いやいや乙女で良いじゃない!

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