00その弐
□〜2012帝臨過去ログ
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「臨也さん、貴方のことが好きです」
俺を下からじっと見上げ、帝人君が言う。
「それで?」
動じずに、俺は問い返す。
「それで、君は何がしたいんだい?」
何もしたくない、なんてはずがない。俺が微笑むと、帝人くんは真剣な目のまま俺へと手を伸ばした。
「貴方が欲しいです」
その手をひょいとかわし、俺は喉の奥で笑う。
「俺は高いよ」
「知っています」
「俺が取り扱っているどんな情報よりも高い。君じゃ到底手が届かない」
「それでも、欲しいんです」
なおも伸びてきた手が、今度はしっかりと俺の頬を捕らえる。抵抗するのも面白くなくて、俺はその手に身を任せた。
「貴方は僕を駒として利用している。その代償じゃ、駄目ですか?」
「駄目も何も、それじゃあすべての人類に等しく俺を手に入れる権利があるじゃないか」
シズちゃんは除く、ね。
そう嘯くように付け足せば、帝人君は俺の顔を引き寄せる。そして、躊躇いがちに目を伏せた。
「平和島さんだけが、特別なんですか?」
「良い意味じゃないよ。悪い意味で。俺はシズちゃんを人間だと思っていないから」
「じゃあ、」
一瞬。
柔らかい、子供の唇が、俺の唇を掠め取っていった。
「じゃあ、僕のことも特別に思ってください」
「良い意味で? 悪い意味で?」
「どちらでも良いです。貴方と釣り合うくらい、僕を好きになってください」
なんて傲慢な子供だろう! そして、なんと面白い子供なんだろう!
俺に自分を特別に好きになれと言った。俺のためじゃない、俺が欲しい彼のために。
なんて面白いのだろう。
ああ、ぞくぞくする。楽しい。胸の奥で、腹の奥で、何かがチリチリと燃える。
「ならこうしよう」
まだ子供らしい曲線が残る柔らかい頬を捕らえ、俺は目を細めた。
「俺は君に興味がある。だからそれを、特別にまであげてごらん」
そしたら、君のものになってあげよう。
そう言うと、彼はうっとりと嬉しそうに微笑み、俺の体を引き寄せた。
「好きです、臨也さん」
「好きだよ、帝人君」
人類として。
君が俺の心を動かせるか、君が俺の心を掴めるか、全ては君次第だ。
その愛で、純粋無垢な愛で、俺を虜にしてみせてよ。
その、壊れそうで狂いそうな純粋音律で。
後書き。
私は帝→臨が大好きでございます。特に帝人君がちょっとおかしいくらいが大好きです。変態でもブラック帝人でも全然構わないです。そして臨也さんは余裕をかましまくってから手を噛まれれば良いと思いまry
いや、趣味に走りましたが、とても楽しかったです。
私は帝臨が好きだ!
静臨と同じくらい!