00その弐

□サディスティック・チャイルド
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「テスラ」
 名前を呼ぶと振り向いたテスラの顔を、俺は思い切り殴りつけた。
「っ」
 テスラの体が揺れて、無防備に倒れ込む。俺はそれを追いかけて倒れたテスラの体に馬乗りになり、髪を引っ張って無理矢理上体を起こさせた。
「何するんだ、ノイトラ」
 痛みに顔を歪めて、テスラが言う。無視して俺は上体を折り曲げ、テスラの唇に噛み付いた。文字通り喰らいつくかのように唇を貪って、突っ込んだ舌で咥内を無遠慮に掻き混ぜる。
「ノイトラ、」
 テスラが抵抗したのは服を剥ぐ間だけだった。何箇所か骨をへし折ってやれば、後はぐったりとこちらに身を任せてくるだけになった。その目に浮かぶ諦めたような色が俺の苛立ちを倍増させて、理由もなく、俺はテスラの顔を殴った。
 壊すように殴って、壊すように犯した。
 テスラは体を掴まれた小鳥のように、啼いていた。




 その数日後。
 いつものようにネリエルを殺しに行くと、ネリエルは俺が刀を抜くより先に言った。
「テスラを殴ったのは貴方でしょう、ノイトラ」
「何の話だよ」
 刀を抜いて構え、振りかぶって叩き込む。ネリエルはその一撃を受け止めて、叱るような声で言った。
「どうしてあんなことしたの!」
「関係ねェだろ!」
「テスラは貴方にやられたって一言も言わなかったのよ! でも私には貴方のせいだって分かったわ。テスラがそうまでして庇うのなんて、貴方しかいないもの」
 俺が何度も繰り出す斬撃を、ネリエルは受け止めては弾いていく。俺は心の中で叫んだ。
 ネリエル、テメェに何が分かる。
 テスラの顔を見るだけで腸が煮え繰り返る俺の気持ちの、テスラがそこにいるだけでむちゃくちゃにしてやりたくなる俺の気持ちの、何が分かる。
 ただ我武者羅に刀を振り下ろしていると、ネリエルはその中の一つをしっかり受け止めて、じっと俺の顔を見た。
「ノイトラ、それは恋よ」
 ネリエルの言葉の意味が分からなくて、俺は「恋?」と問い返す。
「心をなくした俺たち破面が恋だなんて、するわけねェだろ?」
「そうね、貴方はそう言うでしょうね」
 押し上げた刀で体を吹き飛ばされて、俺の体が廊下に叩きつけられる。刀を構えるより早く、ネリエルの一撃が俺の体を貫いた。
「でも、それは、恋なのよ」
 俺を見るネリエルの目は、憐れむような目をしていた。




 痛む体を引き摺って自宮に戻る途中、テスラに会った。
 俺の姿を認めたテスラはハッと目を見開いていたが、逃げるわけにもいかないと思ったのか、極力俺を避けるような足取りでこちらに歩いてきた。
 すれ違おうとしたその腕を、俺は掴んだ。
「テスラ」
「……何だ」
 テスラが俺の顔から視線を逸らす。俺は構わず、その体をぐいとこちらに引き寄せた。
「その体、ネリエルに治してもらったのか」
「……それが、どうした」
 逃げようとするテスラの体を捕まえて、乱暴に、唇に噛みつく。口の端を噛み切ると血の味がして、俺は嗤った。
「ネリエルのところなんて行くんじゃねェよ。お前は俺だけみてればいいんだよ」
 そうだ。
 テスラ、お前は俺だけ見ていればいいんだ。








どんなにメジャーの逆だと言われようとも、私はノイトラ×テスラを主張します……!

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